再婚し連れ子と養子縁組をした場合、養育費は減額できる?
再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組をした場合、前妻の子に対する養育費が減額できる可能性があります。
このページでは、再婚相手の連れ子と養子縁組をした場合どうなるのか、養育費の計算方法について具体的な相談事例をもとに、離婚問題専門の弁護士が、詳しく解説いたします。
相談例
私は数年前に、前妻と協議離婚しました。前妻との間には子ども(関係図中「X」)が1人(現在8歳)います。
協議離婚の際、話し合って子ども(X)の養育費を月額5万円としました。
離婚後は、養育費の支払いを欠かさずに続けています。その後、私は再婚しました。
再婚相手には連れ子(現在6歳、関係図中「Y」))がおり、再婚と同時にその子(Y)と養子縁組をしました。
再婚相手は専業主婦をしており、収入はありません。
そのため、私の収入から現在の妻、養子(Y)の生活費をまかなっている状況です。
このような場合、前妻との間の子ども(X)の養育費を減らすことはできないのでしょうか?
連れ子との養子縁組で養育費は減額できる?
この問題について、当事務所の離婚弁護士が回答いたします。
扶養義務
相談者の方は、前妻との間の子ども(X)に対する扶養義務(※)を負っています。
他方で、再婚し再婚相手の連れ子(Y)と養子縁組を行いました。そのため、相談者の方は、再婚相手、養子(Y)の2人に対する扶養義務も負うことになりました。
※養育費の支払義務は、その性質上、自身と同程度の生活をさせる義務(生活保持義務)と考えられていますが、イメージしやすいよう扶養義務という言葉にしています。
このような場合、相談者の方が支払う養育費を減額できる可能性があります。
以下、順を追って説明していきます。
養育費の計算方法
まず、養育費支払額の算定(標準的な算定方式)については、以下の方法で行っていきます。
② 次に、その生活費を義務者と権利者の基礎収入の割合で按分し、義務者が分担すべき養育費を算出する
という方法です。
養育費支払額の算定(標準的な算定方式)について、詳しくは以下をご覧ください。
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再婚相手の連れ子と養子縁組した場合は?
そして、本件のように義務者(相談者)が再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組した場合、次の方法により算定することが考えられます(再婚相手が無収入の場合)。
② その生活費を義務者と権利者の基礎収入の割合で按分し、義務者が分担すべき前婚の子の養育費を算出する。
という方法により算出します。
具体的な計算式は、以下のとおりです。
① 前婚の子(X)の生活費
義務者の基礎収入 × 前婚の子の生活費指数 ÷(義務者の生活費指数 + 再婚相手の生活費指数 + 養子(Y)の生活費指数 + 前婚の子(X)の生活費指数)
② 義務者が分担すべき前婚の子(X)の養育費(年額)
① × 義務者の基礎収入 ÷(義務者の基礎収入 + 権利者の基礎収入)
③ 養育費月額
② ÷ 12
本件にあてはめて計算をしてみます。
基礎収入(例)
義務者の基礎収入:222万円( 600万円 × 37%)
権利者の基礎収入:78万円( 200万円 × 39%)
生活費指数(例)
義務者:100
再婚相手:55
前婚の子(X):55
養子(Y):55
とします。
①前婚の子(Y)の生活費
222万円 × 55 ÷(100 + 55 + 55 + 55)≒ 46万円
②義務者が分担すべき前婚の子(Y)の養育費(年額)
46万円 × 222万円 ÷(222万円 + 78万円)≒ 34万円
③養育費月額
34万円 ÷ 12 ≒ 2万8000円
よって、この算定方法によると、月額2万8000円程度になります。
まとめ
上記のとおり、再婚し、再婚相手の連れ子と養子縁組をした上記のようなケースの場合、前妻の子に対する養育費が減額される可能性があります。
とはいえ、実際にどの程度まで減額できる見込みがあるのか、また、どのように進めていくか(交渉で解決するのか、養育費の減額調停を申し立てるのか等)については、判断に迷われると思います。
そのため、養育費については、専門の弁護士にご相談されることをお勧めします。
養育費についてお悩みの方は、是非、当事務所の離婚弁護士にご相談ください。
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