過去の婚姻費用を求めることは出来ますか?

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

過去の婚姻費用については、婚姻費用として求めることは難しいです。

ただし、未払いの部分があれば、離婚の際に財産分与の金額を決める上で考慮されると考えられます。

過去の婚姻費用の問題点

過去の婚姻費用の問題点

過去の婚姻費用については、以下の3つの問題点があります。

 

婚姻費用の権利の発生時期に注意!

婚姻費用は、相手方に対して、請求の意思を明確に通知したときから支払い義務が発生すると考えられます。

したがって、例えば、別居してから数年経ってから請求した場合、遡って支払ってほしいとの主張は認められない可能性が高いです。

なお、請求の意思は、口頭ではなく、内容証明郵便等で送るべきです。
口頭の場合、相手方が知らないと主張されると、言った言わないの争いとなり、請求が認められない可能性が高くなるからです。

 

口約束は裁判では合意とならない

例えば、「別居する際、『毎月10万円支払う』との約束してくれましたが、その後支払ってくれなくなりました。」というご相談の場合、書面での合意があったか否かがポイントとなります。

口頭の合意であっても、相手方が合意の存在を認めていれば、未払い婚姻費用として請求できると考えられます。

しかし、実務において、相手方が口約束を認めてくれることはほとんどありません。この場合、合意を立証できないため、婚姻費用の支払い義務は発生していないと判断される可能性が高いと考えられます。

そのため、婚姻費用は、書面で合意しておくべきです。

 

適正額を判断するのが難しい

婚姻費用は、基本的には夫婦双方の年収をもとに判断されます。

年収というと、一見簡単そうですが、給与所得者の場合は、税込みの年収を正確に調査しなければなりません。そのためには源泉徴収票や所得証明書で確認する必要があります。

また、自営業者の場合は確定申告書を確認する必要があります。確定申告書のどこを確認すべきか、離婚専門の弁護士でなければ判断が難しいと考えられます。

さらに、相手方の住宅ローン、家賃、携帯の料金、保険などの生活費の一部を負担している場合、それらを考慮して婚姻費用を算定します。

これらの判断は専門的知識や経験がないと難しいといえます。

 

 

過去の婚姻費用を求める場合のポイント

上記の問題点を踏まえて、過去の婚姻費用を求める場合のポイントについて解説いたします。

内容証明郵便のポイント

書留婚姻費用を請求する場合、婚姻費用の「請求意思」を明確にします。

また、婚姻費用の額が確定している場合は、支払い方法(銀行振込であれば口座情報など)も明記すると良いでしょう。

内容証明郵便の場合、「配達証明」を付けることを忘れないようにしてください。これは、いつ、内容証明郵便が届いたのかを証明するものになります。

なお、当事務所では、ホームページから内容証明郵便の書式を無料でダウンロード可能です。ダウンロードはこちらからどうぞ。

ただし、あくまでサンプルです。適切な記載内容は事案によって異なるので、離婚に詳しい弁護士にご相談されながら進めていかれることをお勧めします。

 

合意書作成のポイント

書類と印鑑相手方が婚姻費用の支払いを約束してくれたら、できるだけ書面にしましょう。

婚姻費用の合意書では、支払う婚姻費用の額、権利者と義務者の氏名、合意の日付、支払い方法(銀行振込であれば口座情報など)等の記載があった方が良いでしょう。

また、合意書には、当事者本人が署名捺印することをお勧めします。

なお、当事務所では、ホームページから婚姻費用の合意書の書式を無料でダウンロード可能です。ダウンロードはこちらからどうぞ。

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ただし、あくまでサンプルです。適切な合意内容は事案によって異なるので、離婚に詳しい弁護士にご相談されながら進めていかれることをお勧めします。

 

適正額の調べ方のポイント

婚姻費用の適正額は、夫婦双方の年収、子供の数や年齢、その他の事情(私立学校に通っている、習い事が高額、医療費が高額など)で異なってきます。

可能であれば、離婚に詳しい弁護士に相談したほうが安心できると思いますが、近くにそのような専門家がいないことも考えられます。

婚姻費用算定シミュレーターは以下よりどうぞ。
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