再婚して子供ができた場合の養育費はどうなる?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

再婚して子供ができた場合は、扶養家族が増えるため養育費を減額できる可能性があります。

この記事では再婚した場合の養育費の計算方法を実際の相談事例をもとに、離婚問題を専門とする弁護士がわかりやすく解説していきます。

養育費でお困りの方はぜひ参考になさってください。

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このページでは再婚した場合の養育費の計算方法を詳しく解説しています。

しかし、養育費の概算額を早く知りたいという方もいらっしゃるかと思います。

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再婚して子供ができた方の養育費についての相談例

再婚して子供ができた場合の養育費について

私は数年前に、前妻と協議離婚しました。前妻との間には、子どもが1人(現在10歳)います。

協議離婚の際、子どもの養育費を月額6万円と取り決めをしました。

その後、私は再婚し、再婚相手との間に子どもが生まれました。再婚相手との子どもは現在1歳です。

なお、再婚相手は現在就労していないため、収入はありません。

そのため、現在、私の収入のみで再婚相手と再婚相手との子どもの生活費をまかなっている状況です。

こうした状況から、前妻との子どもへの養育費の支払いが苦しくなってきており、正直なところ毎月の養育費の金額を減らすことができないかと考えています。

このような場合、前妻との間の子どもの養育費を見直すことはできないのでしょうか?

 

 

養育費とは

養育費とは、子どもが社会人として独立自活ができるまでに必要とされる費用です。

養育費の内容としては、子の衣食住の為の費用・健康保持のための医療費・教育費が含まれます。

 

 

扶養義務について

上記の事例において、相談者の方は、再婚し再婚相手との間に子ども(Y)がいるため、この2人に対する扶養義務(※)を負っています。

また、前妻との間の子ども(X)に対する扶養義務も負っています。

そうすると、再婚前と比較して扶養義務を負う人数が増えたことになります。

このような場合、相談者の方が支払う養育費を減額できる可能性があります。

※養育費では、義務者は正確には扶養義務ではなく、生活保持義務を負っていると考えられていますが、ここではイメージしやすいように扶養義務という言葉を使っています。

以下、順を追って説明していきます。

 

 

養育費の計算はどのようにするか?

養育費の計算は、基本的には算定表という早見表で確認することができます。

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しかし、上記算定表は、本事例のように再婚して子供ができたケースを前提に作られていません。

算定表は、権利者(多くの場合は母親側)がすべての子供を育てていることを前提に作成されています。

したがって、算定表では解決できない事案となります。

 

再婚し、子供ができたときの養育費

再婚の事案では、義務者側も再婚相手との子供を育てているという点で、特殊性があります。

この問題については様々な見解がありますが、ひとつの考え方として、以下の方法があります。

  1. ① 子どもが義務者と同居していると仮定した場合の子どもの生活費を算出する。
  2. ② 次に、その生活費を義務者と権利者の基礎収入の割合で按分し、義務者が分担すべき養育費を算出する。

 

再婚相手が働けない場合

上記事例は、再婚相手も無職・無収入という状況です。

この場合、再婚相手も扶養が必要と考えられます。

本件のように義務者が再婚し再婚相手が無職・無収入の場合は、次の考え方で養育費を計算する方法が考えられます。

まず、義務者と再婚相手が、その子(Y)と前婚の子(X)と同居していると仮定して、前婚の子の生活費を算出する。

次に、その生活費を義務者と権利者の基礎収入の割合で按分し、義務者が分担すべき前婚の子の養育費を算出する。

具体的な計算式は、以下のとおりです。

具体的計算方法 義務者が再婚し再婚相手が無職・無収入の場合

① 前婚の子(X)の生活費を算出する

義務者の基礎収入 × 前婚の子の生活費指数 ÷(義務者の生活費指数 + 再婚相手の生活費指数 + 再婚相手との子の生活費指数 + 前婚の子の生活費指数)

② 義務者が分担すべき前婚の子(X)の養育費(年額)を算出する

① × 義務者の基礎収入 ÷(義務者の基礎収入 + 権利者の基礎収入)

③ 養育費月額を算出する

② ÷ 12

上記の計算式の中で、「基礎収入」と「生活費指数」という言葉は一般の方には馴染みがありません。

この言葉は、養育費の適正額を計算する上で重要となるので、以下、解説いたします。

 

 

基礎収入とは

「基礎収入」とは、税込収入から「公租公課」、「職業費」及び「特別経費」を控除した金額であり、「養育費を捻出する基礎となる収入」のことをいいます。

基礎収入は、以下の計算式で算出します。

基礎収入の計算式

総収入 × 割合(割合表は下表を参照)

給与所得者の基礎収入は、総収入の概ね38~54%の範囲内となります。

自営業者については、給与所得者と異なり、課税される所得金額を総収入とします。

課税される所得金額に対する割合を、給与所得者と同様に求めた結果、自営業者の基礎収入は、総収入の概ね48~61%の範囲内となります。

 

給与所得者の場合

給与収入(万円) 割合(%)
0~75 54
~100 50
~125 46
~175 44
~275 43
~525 42
~725 41
~1325 40
~1475 39
~2000 38

 

自営業者の場合

給与収入(万円) 割合(%)
0~66 61
~82 60
~98 59
~256 58
~349 57
~392 56
~496 55
~563 54
~784 53
~942 52
~1046 51
~1179 50
~1482 49
~1567 48

 

 

生活費指数とは

子の標準的な生活費の指数(以下「子の指数」という)は、親を100とした場合、年齢0歳から14歳までの子については62、年齢15歳から19歳までまでの子については85となります。

根拠:最高裁 研究報告の概要

 

 

相談例の場合の養育費の計算方法

以上を前提として、本事例の養育費を計算します。

具体的計算方法 今回の相談者の場合

基礎収入

義務者の基礎収入:287万円(700万円 × 41%)
権利者の基礎収入:86万円(200万円 × 43%)

生活費指数(例)

義務者:100
再婚相手:100
前婚の子(X):62
再婚相手との子(Y):62


① 前婚の子(Y)の生活費

287万円 × 62 ÷(100 + 100 + 62 + 62)≒ 54万9198円

② 義務者が分担すべき前婚の子(Y)の養育費(年額)

54万9198円 × 287万円 ÷(287万円 + 86万円)≒ 42万2573円

③ 養育費月額

42万2573円 ÷ 12 ≒ 3万5214円

よって、月額3万5000円程度になります。

 

 

まとめ

以上、再婚した場合の養育費の減額について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

このように、相談者の方が負担する子(Y)の養育費が減額される可能性があります。

なお、上記の計算方法はあくまで一例であって、個別具体的な状況によって、変動する可能性があります。

また、具体的にどのようにして解決をしていくのがご自身で判断するのが難しい場合も少なくありません。

そのため、養育費については、専門の弁護士にご相談されることをお勧めします。

この記事が離婚問題に直面されている方にとって、お役に立てば幸いです。

 

 

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