DV夫との面会交流を制限できる?面会交流を制限する5つの要素
DVが深刻で面会交流を実施することが子供に悪影響を及ぼすケースでは、面会交流を制限できます。
面会交流は非監護親の権利であり、基本的に実施しなければなりません。
しかし、子供の利益のために制限できる場合があります。
ここでは、面会交流を制限できる場合について、離婚問題に注力する弁護士がわかりやすく解説していきます。
面会交流でお困りの方はぜひ参考になさってください。
面会交流について
昨今、面会交流は原則実施ということが裁判所の実務です。私も、相談者の方に対しては、そう説明しています。
しかし、「原則実施」ということは、実施しないでも良い=面会交流が制限される例外的な場合もあるということです。
本稿では、面会交流に詳しい弁護士が、面会交流が制限されるかどうかを判断する要素について解説したいと思います。
まず、一般的な基準でいえば、面会交流が子の福祉(福祉=幸せや利益というワードに置き換えて読めば理解しやすいと思います)に合致しない場合には、面会交流は制限可能とされています。
しかし、この基準では、抽象的すぎますので、より詳しく分析したいと思います。
判例によると、
判例審判例(東京家裁平成18年7月31日審判)
面会交流が子の健全な成長、人格形成のためであることに鑑みると、その程度、方法には自ずから一定の制限があり、子の心理面、身体面に与える影響、子の意向等を十分配慮する必要があるし、真に子の福祉に資するような円滑かつ安定的な面会交流を実施するには、父母相互の信頼と協力関係が必要
としています。
他にも同旨の審判例や、さらに他の要素に触れた審判例もありますが、審判例をまとめると、以下の5つの具体的な要素を検討していると分析できます。
そのため、この事例のように、面会交流を制限したいのであれば、面会交流の実施が子の福祉に反することを5つの要素に触れながら具体的に主張立証することが必要になるでしょう。
面会交流の制限に関する5つの要素とは?
- 子に関する要素
(子の意思、子の年齢、子の心身に及ぼす影響、子の生活環境に及ぼす影響等) - 監護親に関する要素
(監護親の意思、監護親の監護養育への影響、監護親の生活状況など) - 非監護親に関する要素
(非監護親の生活状況、非監護親に問題がある場合など) - 子と非監護親の関係に関する要素
- 監護親と非監護親との関係に関する要素
(別居・離婚に至った経緯を含め、現在の両親の関係がどうであるかなど)
DV夫との面会交流を制限できる?
事例
夫とは現在別居中ですが、同居中、私に対して暴力や暴言がひどかったため顔を合わせることすら抵抗があります。
夫は、子どもに対しては暴力や暴言はなく、むしろ子どもを溺愛しています。
このような場合に、面会交流を制限することは可能でしょうか?
妻へのDVを理由に面会交流を制限できる?
この事例の場合では、「3.非監護親に関する要素」として、非監護親の監護親に対する暴力、暴言(いわゆるDV)があげられます。
児童虐待防止法2条4号は、児童が同居する家庭でのDVを「虐待」と定義しています。暴力を配偶者に振るうことは子に対しては虐待にあたるのです。
この点を具体的に主張立証することで、面会交流の全面的な制限が認められる可能性があります。
もっとも、以下は私見にはなりますが、上記の事例では、元夫は、子どもを溺愛しているということですので、子どもと元夫の関係は良好であることと予想されます。そのため、裁判所としては、妻に対する暴力の程度や反省の程度は考慮されますが、第三者機関を通じての面会交流を推奨する可能性が高いケースと思われます。
より詳しくは、面会交流の制限の問題に詳しい当事務所の弁護士にご相談ください。
まとめ
以上、面会交流を制限できる場合について解説しましたがいかがだったでしょうか。
面会交流は非監護親の権利であり、基本的に実施しなければなりません。
しかし、DVが深刻で面会交流を実施することが子供に悪影響を及ぼすケースでは、面会交流を制限できます。
もっとも、どのような場合に制限できるかについては専門的な判断が必要となります。
そのため、面会交流でお困りの方は離婚問題に強い弁護士へのご相談をお勧めいたします。
当事務所には面会交流に注力する弁護士で構成される離婚事件部があり、面会交流を強力にサポートしています。
お気軽にご相談ください。
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