養育費の私学加算とは?認められるケースや金額を事例で解説
養育費の私学加算とは、通常の養育費に加えて、私立学校の学費等を上乗せすることをいいます。
養育費の私学加算は認められるケースと認められないケースがあります。
また、認められたとして、いくら請求できるのかという問題があります。
ここでは、離婚問題に注力する弁護士が養育費の私学加算について、実際の相談事例をもとにわかりやすく解説します。
養育費の私学加算でお困りの方はぜひ参考になさってください。
目次
養育費の私学加算について相談事例
私と元夫は、約1年前に離婚しました。
子どもが1人おり、離婚時子どもは14歳で親権は私が取得しました。
離婚時に取り決めた養育費については、元夫は欠かさず支払ってくれています。
その後、子どもは私立高校に進学し寮に入ることになったため、私立高校の学費に加えて、寮費も毎月かかることになりました。
このような場合、元夫に私立高校に通う際の寮費を求めることはできないのでしょうか?
養育費の私学加算とは?
養育費の私学加算とは、通常の養育費に加えて、私立学校の学費等を上乗せすることをいいます。
子どもが私立高校に通った場合の養育費の算定にあたり、学校教育費を両親がどのような割合で分担すべきかが争いになることは少なくありません。
いわゆる養育費の算定表は、公立高校に通った場合の学校教育費を指数として考慮しているため、私立高校に通う場合の学校教育費等は考慮していないからです。
養育費を受け取る側としては、これまでの養育費に加えて、加算した金額を求めたいと考えるでしょう。
では、養育費の私学加算はどのような場合に認められるのでしょうか。
養育費の私学加算が認められる条件
養育費支払義務者(本事例では元夫)が、子どもが私立高校に通うことを承諾している場合には、私立高校にかかる学校教育費等の負担をさせることができると解されています。
そのため、本事例のように、「私立高校の学費には協力する」と言っている場合には、私立高校へ通うことを了解していると判断できるため、元夫に対して応分の私立高校の学校教育費等を求めることができると解されます。
元夫が私立高校に通うことを承諾していなかった場合
本事例とは異なりますが、仮に、元夫が私立高校に通うことを承諾していなかった場合は、そもそも加算して負担を求めることができるのかという問題が生じます。
とはいえ、仮に承諾していなかったとしても、支払義務者に対して応分の負担を求めることが公平という場合も少なくありません。
承諾していなかった場合に、義務者に対して応分の負担を求めることができるかはケースバイケースで、過去にはこれを否定した審判例もあります。
養育費は子どもにとってとても大切なものであると同時に、教育方針にまで影響する可能性のある問題です。
養育費についてお悩みの方は、この問題に詳しい専門家にご相談されることをお勧めします。
養育費について、詳しくは以下をご覧ください。
養育費の私学加算で請求できるもの
一般的に、教育関係費には、以下のようなものがあります。
- 教育関係費
- 入学金
- 授業料
- 教科書代
- 学校に通うための交通費
このうち、学費(授業料)については、私学加算の対象として認められるでしょう。
その他の諸費用が私学加算の対象として認められるのかについては争いがあります。
本事例のような寮費は、私立高校に通うために必要不可欠な費用といえるため、元夫に対して応分の負担を求めることができると考えられます。
養育費の私学加算の分担割合
例えば、授業料が年間100万円の場合、相手にどの程度負担してもらえるのでしょうか。
どの程度の負担を相手に求めることができるか(分担割合)については、基本的に協議で決めていくことになります。
協議の方法としては、当事者同士で話し合う、家庭裁判所で調停を通じて話し合うというような方法があります。
協議で定まらない場合には、過去の審判例等を参考に考えていくことになるのですが、その考え方には様々なものがありますが、例えば、私立高校の教育費から、標準的算定方式で考慮済みの公立学校の教育費(年額33万3844円 判例タイムズ1111号)を控除した額を当事者の総収入又は基礎収入の割合で按分する方法があります。
判例 大阪高決平成21年11月17日(但し婚姻費用の事例)
「標準的算定表においては、子の学校教育費については公立学校の教育費は考慮されているが、私立学校その他の教育費は考慮されていないので、・・・・・・当事者双方の基礎収入に応じて按分するのが相当」と判断した審判例もあります。
養育費の私学加算の金額はいくら?
当事務所はウェブサイト上に養育費の自動計算ツールを掲載しており、無料で養育費の金額をシミュレーションできます。
養育費の私学加算にも対応していますので、養育費の目安を確認したい方はご利用ください。
まとめ
以上、養育費の私学加算について、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか。
養育費の私学加算については、認められるケースとそうではないケースがあります。
認められる場合でも、その具体的な金額を算定するのは専門知識や経験が必要です。
そのため、くわしくは離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめいたします。
当事務所では、離婚事件チームに所属する弁護士が養育費の問題について親身になってご相談に応じております。
LINE、Zoom等を活用したオンライン相談も行っているので、遠方の方もお気軽にご相談ください。
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