子どもが私立学校。婚姻費用はどうなる?私学加算を解説
子どもが私立学校に通っているケースで、婚姻費用の支払義務者(多くは父親側)が私立学校進学を了承している場合、婚姻費用は増額(私学加算)されると考えられます。
子どもが私立学校に通うと、公立学校と比べて学費が多くかかります。
そのため、お子さんが私立学校に通われているご家庭では、婚姻費用がいくらになるのか、不安に感じていらっしゃると思います。
ここでは、離婚問題に注力する弁護士が相談事例をもとに、私学加算の条件やポイントについて解説しています。
婚姻費用でお困りの方はぜひ参考になさってください。
私立学校と婚姻費用についての相談例
私は、妻と別居して2年になりますが、先日、子どもの高校進学にあたり、婚姻費用の増額を請求されました。
理由は、子どもが私立の高校に進学して学費がかかるからとのことです。
私は、事前に妻から子どもが私立の高校に進学するということについて、全く相談を受けていませんでした。
それでも、婚姻費用の増額に応じなければならないのでしょうか。
婚姻費用とは
婚姻費用とは、夫婦と未成熟子によって構成される婚姻家族がその資産、収入、社会的地位等に応じた通常の社会生活を維持するのに必要な費用をいいます(大阪高決昭33.6.19)。
わかりやすく言うと、生活費のことであり、収入が多い側(通常は夫)が収入が少ない側(通常は妻)に対して支払う必要があります。
婚姻費用は、配偶者各自の生活費だけでなく、未成熟子の養育費も含みます。
婚姻費用の計算方法とは
婚姻費用は、夫婦双方の収入、子供の数・年齢をもとに計算するのが基本です。
いちいち計算すると大変なので、家庭の調停実務においては「算定表」という早見表を用いて算定されることが定着しています。
婚姻費用算定表はこちらからどうぞ。
スマホで簡単!婚姻費用の自動計算!
当事務所では、夫婦双方の収入と、子どもの数・年齢を入力することで簡単に婚姻費用の目安を自動計算できるサービスをご提供しています。
また、婚姻費用自動計算機のプロ版は、私立学校に通っているケースにも対応しています。
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私立学校の学費の加算が認められる条件
婚姻費用は、算定表を基準に算定されるのが一般的です。
そして、算定表では、通常の範囲の個別的事情は表の額の幅の中で既に考慮がされているため、算定表によることが著しく不公平となるような特別な場合しか個別的事情は考慮されません。
もっとも、算定表では、公立中学・高校に通う場合を算定しており、私立学校等に通う場合は念頭に置いていません。
したがって、私立学校の進学費用は、算定表によることが著しく不公平な個別事情のひとつといえます。
そうである以上は、私立学校の学費は、婚姻費用の増額事由になりうるということになります。
もっとも、それは、子どもの私立高校への進学を両親双方が了承していた場合です。
子どもの私立高校への進学を全く聞かされていなかった場合には、妻からの婚姻費用の増額の請求が認められないこともあるでしょう。
実際に、夫に無断で妻が入学させた私立高校の入学費用について、夫は公立高校に進学させる意向を持っていたことから、公立高校の入学費用を基礎として夫の分担額を定めて、その支払を命じた審判例があります。
まとめ
以上、婚姻費用と私学加算について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
婚姻費用は、日々の生活のための大切なお金であるため、きちんと請求して確実にもらえるようにすることが大切です。
そのためには、状況に適した請求方法を選択することや、適正額をきちんと判断することが必要です。
これらは具体的な事案によって異なりますので、婚姻費用にお困りの方は、まずは離婚問題に詳しい弁護士に相談されることをおすすめいたします。
当事務所には、離婚問題に注力する弁護士で構成された離婚事件チームがあり、婚姻費用の問題でお困りの方をサポートしています。
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