離婚協議中(離婚調停中)の保育料について

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


離婚協議中または離婚調停中であっても、離婚成立前は夫婦の所得を基準に保育料が定められるのが原則です。

ただし、モラハラやDVの被害を受けている等の場合、市役所の家庭相談員に精神的虐待やDVを受けている旨の証明書を書いてもらえれば、夫婦の合算ではなく妻の所得を基準に保育料を定めてもらえるかもしれません

詳しく解説します。

保育料はどのようにして定められる?

そもそも保育料はどのようにして定められるのでしょうか。

この点、保育料は、市民税の納税額で判断されます。

具体的には、4月分から8月分までは子どもの父母の前年度市民税額を合算した額に応じて決定し、9月分から3月分までは、お子さんの父母の当該年度の市民税額を合算した額に応じて決定することになります。

そして、市民税は、所得に応じて課されるものですから、離婚成立前は、夫婦の所得を基準に定められるのが原則ということになってしまいます。

そうすると、例えば、福岡市の場合、3歳未満のお子さん1人を想定した場合、最も安いと、月額1万4200円なのに対し、最も高いと月額8万3200円にものぼるため、夫婦の所得の合算を基準にされてしまうと、子どもを保育園に預けることも難しいというケースも出てきます。

実際、そのような機械的な運用をする行政は多く、婚姻費用が十分に支払われていないケースなど弁護士としても苦慮しているのが実際のところです。

 

 

婚姻費用が十分に支払われていない場合はどうなる?

しかし、特に、DV加害者やモラハラ加害者を夫にもつ場合、たとえ別居中であっても、十分な婚姻費用が支払われておらず、裁判所の手続(婚費費用の調停や審判)を使って適切な婚姻費用をもらえるようになるまで、何ヶ月も時間がかかることは珍しくありません。

このような場合、行政でなにか特別の配慮は行っていないのでしょうか。

この点、事例紹介にはなりますが、モラハラ(精神的な虐待)を被害者である妻がノートに記録として記載していたケースで、それを疎明資料として家庭相談員に示すことで、市役所の家庭相談員が、精神的な虐待が見受けられる旨の証明書を書いてくれ、それによって、妻側の所得のみを基準とした保育料を定めてもらうことができたということがありました。

DV被害者やモラハラ被害者の場合、その記録をノートに記載するなどある程度の証拠化を行っておきましょう。すると、それを疎明資料として、市役所の家庭相談員に示すことで、妻側の所得のみを保育料決定の基準にしてもらうことができるかもしれません。

 

 

#婚姻費用

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