不倫夫から50%の年金分割を受けた妻Yさんの事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


ご相談者Yさん
職業:専業主婦
世帯年収:1000万円
婚姻期間:10年
解決方法:調停
子どもあり (4人)
離婚を求められた

相手:30代会社員

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

依頼前 依頼後 増額利益
慰謝料 300万円 1000万円 700万円
財産分与 0円 300万円 300万円
養育費 月額19万円 月額24万円 月額5万円
婚姻費用 0円 月額24万円 月額24万円
年金分割 50% 50%

 

状況

Yさんは、8年前に夫と結婚し、4人の子どもに恵まれました。

一番下の子は出産直後の時でした。夫が突然別居し、他の女性の家で同棲を始めました。

その女性は、夫の会社の同僚でした。

Yさんはかなりショックを受け悩んでいましたが、夫が帰ってきてくれると、ずっと信じていました。

しかし、夫は帰ってこず、それどころか弁護士を立てて、離婚を求めてきました。

そこで、困ったYさんは、今後のことについて、弁護士に相談しました。

 

※この事例は、以下争点ごとに弁護士の関わりと補足説明を掲載しています

弁護士の関わり

慰謝料の増額について

弁護士は夫の弁護士と協議を開始しました。

夫側は、離婚の条件として慰謝料300万円を支払うと提示してきました。

弁護士は、それでは離婚に応じないと主張し、増額交渉を行いました。その結果1000万円を一括での支払いを成功させました。

財産分与について

夫側は、財産分与について、対象となる財産がないと反論してきました。

しかし、夫は大手企業に勤めており、退職金がありました。

弁護士は、当該退職金も財産分与の対象となる主張をしました。

その結果、財産分与として300万円の支払いを受けることができました。

養育費の増額について

夫側は、養育費は算定表どおり月額19万円を成人するまで支払うと提示してきました。

弁護士は、それでは離婚に応じないと主張し、増額交渉を行いました。

すると、夫側は離婚調停を申し立てて来ました。

弁護士は、養育費については、月額24万円、大学卒業時までの支払いを求めました。

夫側は、相場を超えるとして反論しましたが、粘り強い交渉の結果、妻が求める条件で成立しました。

婚姻費用の増額について

Yさんは、弁護士に離婚に応じないたくないと仰っていました。

弁護士がYさんに離婚に応じたくない理由を聞くと、離婚後の生活に経済的な不安を持っているということでした。

そこで、弁護士は、離婚後の生活に不安がないくらいの条件で離婚を成立させることを提案し、Yさんに安心してもらいました。

夫の弁護士と協議を開始し、まず、離婚には原則として応じないと回答し、婚姻費用として、月額24万円の支払いを求めました。

夫側は、離婚を前提としているのだから、婚姻費用は支払わないと主張してきました。

また、夫側は離婚調停を申し立てて来ました。

そこで、弁護士は、反対に、婚姻費用の調停を申し立てました。

その結果、婚姻費用として、離婚が成立するまでの間、月額24万円の支払いが認められました。

年金分割について

離婚後の生活に経済的な不安を持っているという、Yさんに、弁護士は、離婚後の生活に不安がないくらいの条件で成立させることを提案し、年金分割として50%の按分割合を求めました。

夫側は、反論してきましたが、粘り強い交渉の結果、妻が求める条件での離婚が成立しました。

 

補足

慰謝料の増額について

配偶者の不貞行為を理由として離婚する場合、裁判所における慰謝料の相場は200万円から300万円程度と言われています。

本件では、夫側が離婚に積極的な事案でした。

夫はおそらく、妻と離婚して同棲相手の女性と再婚を考えていたのでしょう。

このような事案では、慰謝料について強気の交渉が可能です。

本件では、当方からの要求する条件でなければ離婚には一切応じないというスタンスで交渉に臨みました。

その結果、相場を大きく上回る離婚慰謝料を獲得することができました。

財産分与について

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で形成した財産を分ける制度です。

Yさんのように、専業主婦でも権利があり、通常は、財産の2分の1を請求できます。

本件では、夫側に預貯金等はあまりありませんでしたが、夫には退職金がありました。

もっとも、夫はまだ30代であり、実際に退職金を受け取るまで20年以上もありました。

このような事案でも、相手方が公務員や大手企業の場合、退職金規定があり、将来、支払われる蓋然性が高いといえるので、対象とできる可能性があります。

養育費の増額について

養育費は、夫婦双方の年収を基に算定します。実務上、養育費の算定には、算定表という早見表が使用されます。

本件は、子どもが4人のため算定表は使えませんでした(算定表は子どもが3人までです。)。

このような場合、標準算定方式に基づき、計算式を使って算出します。

標準算定方式では、養育費月額19万円ほどとなりました。

しかし、この算定方式は、あくまで当事者が納得しない場合に家裁が裁判等で決定するときに使うものであって、必ずしもこれによらなければならないわけではありません。

本件では、夫側が離婚に積極的な事案で、強気の交渉が可能です。

当方からの要求する条件でなければ離婚には一切応じないとした結果、相場を大きく上回る養育費を獲得しました。

婚姻費用の増額について

婚姻費用とは、離婚が成立するまでの間、支払わなければならない生活費のことです。

たとえ別居していても、収入が高い方は低い方に支払わなければなりません。

この婚姻費用は、夫婦双方の年収を基に算定します。

実務上、婚姻費用の算定には、算定表という早見表が使用されます。

本件は、子どもが4人のため、標準算定方式に基づき、算出します。

標準算定方式では、婚姻費用は月額24万円ほどとなりました。

夫側は婚姻費用の支払いに抵抗し、通常、低くしたいと思っていますが、適正額を受け取るように粘り強く交渉すべきです。

なお、最終的に相手方が婚姻費用を支払わない場合、審判という形の命令が出されます。

これでも相手方が支払わない場合、強制執行が可能です。

年金分割について

年金分割は、婚姻期間中の年金の支払い記録を分割する制度です。

対象となるのは厚生年金や共済年金です。

年金分割は、熟年離婚だけの場合と勘違いされている方がいらっしゃいます。

しかし、本件のような比較的若い夫婦の場合でも、年金分割を求めることは可能です。

また、本件では、夫側の年収が高く、支払っている年金保険料も高額になりますので、忘れないように注意しなければなりません。

 

 





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