法律事務所を2軒まわって離婚は無理と言われたが離婚成立できた医師

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
ご相談者Sさん
職業:医師
婚姻期間:19年
解決方法:調停
子どもあり (長女(高校生))
離婚を切り出した

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 利益
離婚 ×不成立 ○成立
養育費 月額30万円 月額15万円 月額15万円
慰謝料 1000万円 自宅を分与

 

状況

Sさんは、妻と平成5年に婚姻し、その後長女を授かりました。

しかし、些細なことから妻との関係が悪化していき、口論が絶えないようになりました。

そんな生活が続き、平成13年に同じ病院で知り合った看護師に好意を抱くようになり、交際を始めました。

そして、平成21年、Sさんは妻子を残して別居し、その女性と同棲を始めました。

Sさんは、別居生活を続けましたが、長女とは定期的に面会し、見守ってきました。

長女が高校に進学し、ある程度大人になったことから、Sさんは妻との形骸化した関係を終わらせようと離婚を決意しました。

そこで、Sさんは妻に離婚を求めたが、今後の生活の不安を理由に拒否されました。

Sさんは平成24年、離婚について、知り合いから紹介してもらった法律事務所2軒に相談に行きましたが、2軒とも有責配偶者からの離婚請求は認められないから諦めるように言われました。

平成24年11月、悩んだSさんは当事務所に来所されました。

(Sさんの財産の状況)

・自宅マンション(妻子居住)平成20年購入(2000万円)ローン残1500万円
・預貯金 Sさん:100万円 妻:不明
・車(普通車)

 

弁護士の関わり

弁護士は、まずは話合いで解決できないかと考え、妻に協議離婚の申入れをして交渉しました。

しかし、妻は生活の不安を理由に離婚に応じませんでした。

弁護士は、離婚しても今後の生活に心配などないことを説明しましたが、妻は頑なに離婚に応じませんでした。

そこで、当事者間の交渉では解決が困難と判断し、離婚調停を申立て、調停手続の中で、妻の今後の生活補償について、具体的な条件を提示する等して交渉しました。

しかし、妻は、長女が高校を卒業するまで離婚を待ってほしいと言ってきました。

また、精神的に不安定なところがあったため、妻は調停を欠席することもありました。

これに対して、弁護士は、現時点で離婚を成立させた方が数年後に離婚するよりも有利であること等を説明しました。

また、自宅マンションを妻に譲渡し、今後の生活支援金を支払っていくことを提示しました。

その結果、調停申立て後、約7か月で離婚が成立しました。

 

 

離婚が認められる場合とは

相手が離婚に応じてくれない場合、最終的には裁判所で審理してもらうこととなります。

法律上、裁判官が離婚判決を出してくれるのは、以下の5つの場合に限定されています。

法律の根拠 見出し
民法770条1項1号 相手方に不貞行為があったとき
民法770条1項2号 相手方から悪意で遺棄されたとき
民法770条1項3号 相手方の生死が3年以上明らかでないとき
民法770条1項4号 相手方が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
民法770条1項5号 その他婚姻を継続し難い重大な理由があるとき

離婚が認められる場合について、より詳しい解説はこちらのページをご覧ください。

この事案では、不倫をしたのは離婚を求める側だったので、上記の「相手方に不貞行為があったとき」には該当しません。

もっとも、別居してから3年ほどが経過していたので、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するようにも見えました。

 

 

 

不倫をした夫からの離婚請求の問題

上記のように、別居期間がある程度経過すると、「婚姻を継続し難い重大な理由がある」と認定される可能性があります。

ところが、本件では、Sさんは不倫をしています。

このように、不倫などを行い、そのことが原因で婚姻関係が破綻した場合、その配偶者のことを「有責配偶者」といいます。

このような有責配偶者からの離婚請求について、裁判所は、仮に上記の5つのいずれかに該当したとしても、信義則に反するとして、簡単には離婚を認めてくれません。

そして、有責配偶者からの離婚請求について、裁判所は、次の要件を満たさなければ、離婚を認めてくれません。

  • ① 別居期間が長期間に及んでいること。
  • ② 未成熟子が存在しないこと
  • ③ 相手方配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれるなどの事情がないこと。

①の「長期間」について、どの程度の年数が必要かが問題となります。

この期間については、一概には言えませんが、少なくとも3年程度では無理です。

有責配偶者からの離婚請求について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

したがって、本事案において、仮に、離婚訴訟を提起した場合、離婚の判決を出してもらうのは極めて難しいと考えられます。

そのため、あまり離婚問題に力を入れていない法律事務所の場合、「離婚は無理」と言って受任しないことが多く見受けられます。

しかし、このような有責配偶者からの離婚請求でも、粘り強く交渉すること、また、現時点で早期に離婚した方が相手方にとっても有利であること等をわかりやすく、かつ、具体的に説明することで離婚が成立することは可能です。

協議離婚のメリットについてこちらのページで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

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