隠れて浪費をしていた妻と協議で離婚を成立させたRさんの事例
世帯年収:600万円
婚姻期間:7年
解決方法:協議
子どもあり (2歳女の子)
離婚を切り出した
相手:30代専業主婦
サポート無 | サポート有 | 利益 | |
---|---|---|---|
離婚 | 不成立 | 成立 | – |
親権 | 妻 | 妻 | – |
養育費 | 6万円支払う | 5万円支払う | 月額1万円の減額 |
面会交流 | なし | 月1回 | – |
財産分与 | 相当額支払う | 支払なし | 相当額の減額 |
婚姻費用 | 月額8万円 +未払婚費として36万円 |
月額4万円 | 月額4万円 +36万円の減額 |
Rさんは、平成25年に妻と結婚し、平成29年には娘が生まれました。
しかしながら、Rさんと妻は、価値観の違い等から次第にお互い距離を置くようになりました。
また、家計の管理は妻が行っていましたが、妻が、子どものために貯めていたお金をつかってパチンコをする等の浪費行為を行い、夫婦仲はさらに悪化していきました。
そのような状況で、妻とRさんは、双方離婚を考えていましたが、具体的な離婚条件を定める前に、妻は娘を連れて自宅を出て行きました。
Rさんは、妻と離婚についての話合いをしようとしましたが、妻が話合いを拒み、離婚問題は全く進展せず、娘にも会わせてもらえませんでした。
そこで、Rさんは、弊所の離婚専門弁護士に、妻との離婚協議をご依頼されました。
弁護士は、妻に対し、協議離婚申入書を送付しました。
協議離婚申入書には、妻の浪費が原因で離婚を考えていること、妻が離婚の話合いに応じなければ調停に移行する可能性があること等を記載しました。
弁護士が書面を出してから約2週間後、妻の弁護士から連絡が届きました。
妻側の主張は、生活費は少ししかもらっておらず生活が困窮していた、生活が苦しい中でパチンコ等の浪費はできないといった主張でした。
しかしながら、Rさんは、妻が毎週パチンコに行っていることを証明する写真を撮っていました。
また、通帳の履歴を調べたところ、Rさんが妻に対して十分すぎる生活費を渡していたことを確認できました。
そこで、弁護士は妻側に対し、通帳の履歴と妻がパチンコに通っている写真を送り、妻の主張は明らかに虚偽であることを指摘しました。
また、妻が虚偽の主張を続け、Rさんに対し不当な財産分与等を求めてくる場合、調停に移行し、妻の浪費を明らかにした上で、逆に財産分与の請求をする旨の主張を行いました。
その結果、妻は、自己の落ち度までは認めなかったものの、Rさんの希望する離婚条件を概ね受け入れる形で離婚に応じました。
また、Rさんは、早期解決のため、浪費分の返却までは求めませんでしたが、婚姻費用は、算定表の相場の約半分程度しか払っておらず、実質的には浪費分の一部を回収できた形になりました。
本件のメインの争点について解説します。
離婚について
裁判所が離婚を認めるのは5つの場合に限定されています。
すなわち、①相手方の不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上生死不明、④回復の見込みのない精神病、⑤婚姻を継続しがたい重大な事由の5つです。
本件において、妻側の浪費があるものの、浪費の程度からすると浪費の事実のみで離婚を認めてもらえる状況ではありませんでした。
また、別居期間も半年程度であり、浪費の事実と合わせても⑤の婚姻を継続しがたい重大な事由があるともいえない状況でした。
そのため、Rさんが訴訟において離婚を認めてもらうためには、あと1、2年間別居を続ける必要がありました。
もっとも、本事例では、早期解決を前提に、相手方の浪費分の返却を諦めたことで、訴訟や調停等の裁判手続きを利用せず、協議において解決をすることができました。
財産分与について
本事例では、相手方は、パチンコ等の浪費を繰り返していました。
このような浪費行為については、財産分与上考慮してもらえる場合と考慮してもらえない場合があります。
財産分与上考慮してもらえるケースでは、例えば、別居時の財産は500万円しかないけれど、別居直前に妻が300万円をギャンブルで費消したというような場合、300万円を持ち戻した800万円が財産分与対象財産として扱われることになります。
他方で、趣味嗜好に一定程度金銭を費消することがすぐに浪費にあたるわけではなく、費消した金額や財産の総額等からみて浪費とまではいえない場合には財産分与上考慮されない可能性もあります。
本事例において、パチンコ等の明らかに生活費とは別に費消されたといえる金額は、約2年間でおよそ100万円程度であったたため、財産分与上持ち戻してもらえる可能性は低いと思われました。
そのため、Rさんの心情としては浪費分の返却を求めたいところでしたが、今後婚姻費用を負担していかなければならないことを踏まえると、浪費分の返却は争わず早期に解決した方が良いと考えられました。
そこで、Rさんと弁護士が話合った結果、早期解決を重視して浪費分の返却は求めず、財産分与はお互いに請求しないという形で解決をすることを選択しました。
なお、相手方からの財産分与請求については当然に応じる意向はなかったため、もし相手方が財産分与の請求を取り下げなければ、調停に移行して浪費分を争う予定でした。
財産分与について、詳しくはこちらをご覧ください。
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