価値観の違いで離婚できる?【弁護士が事例で解説】
価値観の違いは離婚理由として認められますか?
離婚を相手がなかなか納得してくれません。
離婚を考えていますが、何から始めればいいですか?
このような場合の対処法について、当事務所の弁護士が実際の相談事例をもとに解説しますので参考にされてください。
世帯年収:450万円
婚姻期間:3年
解決方法:協議
子どもあり (0歳女の子)
離婚を切り出した
相手:20代無職
サポート 無 |
サポート 有 |
減額 利益 |
|
---|---|---|---|
離婚 | 不成立 | 成立 | – |
親権 | – | 相手方 | – |
養育費 | 月額 6万円 |
月額 4万円 |
月額 2万円 |
Tさんは、3年前に結婚し、1年前には子どもを一人もうけました。
しかし、妻との価値観が合わないことや、妻が家事をしないこと、そして妻の親との折り合いが悪いこと等から、次第に婚姻関係を継続することが困難だと考えるようになりました。
そうするうちに夫婦関係は険悪になっていき、Tさんは別居を開始しました。
そこでTさんは離婚について弁護士に相談しました。
若い夫婦だったため、弁護士から妻に離婚協議の内容証明を送ったのちには、妻の両親と電話で話すことも多く、妻の両親に対して、離婚に納得してもらえるような説明が必要でした。
そこで弁護士は粘り強く妻をはじめその両親に対しても丁寧な説明を続けました。
妻側にもTさんに対する言い分が多くあったため、弁護士はその言い分をなるべく聞いて受け入れようとする姿勢をとりつつ、交渉を続けました。
そうすることで、相手方は最終的には離婚に応じてくれました。
妻は、離婚後の経済面に不安があるとして、養育費は月額6万円を求めてきました。
しかしこれは、双方の収入をもとに算定表に従って算定した額と比較しても高めの金額でした。
弁護士は、裁判所を通した場合の基準に従うと、もう少し金額が低くなること、また、離婚した場合には児童扶養手当など各種手当の支給を受けられることなどを丁寧に説明して、相手方に離婚後のイメージを持たせるよう努めました。
その結果、当初の相手方の請求から2万円低い月額4万円という金額で養育費の合意ができました。
養育費は、夫婦双方の年収を基に算定します。実務上、養育費の算定には、算定表という早見表が使用されます。
本件は、相手方の求める金額は、この算定表に従い算定される額よりも高いものでした。
もっとも、本件ではTさん側が離婚を求めている側で、かつ離婚原因も弱い事案でしたので、相手方に対する譲歩は必須と考えられました。
しかし、Tさんとしても、収入が必ずしも多くなく、また子どもも0歳で今後20年間は養育費を支払わなければならなかったため、月額1万円でも減額することはTさんにとって大きな利益となるものでした。
そのため弁護士は、安易に譲歩するのではなく、粘り強い説得と丁寧な説明を心がけ、相手方に算定表どおりの金額で納得してもらえるよう努めた結果、その金額で合意をすることができました。
法律上離婚できる場合とは
裁判で離婚が認められるためには、法定の離婚原因が必要です(民法770条1項)。
これには5つあります。
「価値観の違い」については、上記の中の少なくとも①から④に該当しないことは明らかです。
では、⑤その他婚姻を継続し難い重大な理由があるときに該当するでしょうか。
「婚姻を継続し難い重大な理由」とは、①から④に匹敵するほどの重大な場合をいいます。
例えば、虐待を受けている、長年月にわたって別居状態が続いている、などが考えられます。
価値観の違いについては、程度にもよりますが、基本的に「婚姻を継続し難い重大な理由」には該当しないと考えられます。
どんな夫婦でも、多少の価値観の違いがあるのが普通だからです。
したがって単なる価値観の違いだけを主張しても、裁判上は離婚原因として弱いものと扱われ、離婚判決を出してもらえない可能性が高いといえます。
別居を検討してみる
離婚は、生活に大きな影響を及ぼします。
また、離婚した後に、後悔する可能性もあります。
そのため、いきなり離婚ではなく、まずは別居して様子を見るという選択肢を検討してもよいでしょう。
別居して一定期間、冷静に考えてみることで、夫婦関係が修復できる糸口が見つかるかもしれません。
離婚したい場合
様々な事情を考慮して、離婚という選択肢を取る場合、上記のとおり、裁判では離婚が難しいということを認識しておく必要があります。
このような事案では、できるだけ裁判を避けて、まずは協議離婚を進めることをお勧めします。
また、当事者同士での協議が難しい場合は、専門家に間に入ってもらうという方法もあります。
専門家に仲介してもらうことで、冷静な話し合いが可能となるでしょう。
まとめ
以上、価値観の違いで離婚する場合の法的問題について、実際の事例をもとに解説しましたがいかがだったでしょうか。
このような事案では、本当に離婚が適切かどうかを見極めるために、まずは別居を検討されても良いでしょう。
離婚するという答えが出ている場合、できるだけ裁判は避けて、まずは話し合ってみられることをおすすめいたします。
また、当事者同士での協議が難しい場合は、離婚問題に精通した専門家に交渉を依頼されても良いでしょう。
当事務所には、離婚問題に注力する弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、離婚が難しい案件についても強力にサポートしています。
また、近くに専門家がいない遠方の方などは、LINEなどを利用したオンライン相談が可能です。
離婚問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
なぜ離婚問題は弁護士に相談すべき?弁護士選びが重要な理由とは?
あなたにおすすめの事例
検索条件: 会社員- 1
離婚後、婚氏続称していたが氏の変更許可の申し立てを行った事例
Kさんは、20年前に夫と結婚し、長男をもうけましたが、離婚しました。当時、長男が小学校に通っていた為、婚姻中の氏を称することとしました。長男が、無事に高校を卒業し、大学に進学したことから、旧姓に戻りた[...]
依頼結果:
氏の変更 | ○旧姓に戻した |