オーバーローンを一切負担なく離婚したMさんの事例
婚姻期間:14年
解決方法:協議
離婚を切り出した
相手:40代会社員
サポート無 | サポート有 | 経済的利益 | |
---|---|---|---|
財産分与 | - | オーバーローンの不動産はローンごと夫が取得 | - |
年金分割 | - | 0.5 | - |
離婚の申入れを拒否する夫との代理交渉を弁護士に依頼したMさん
Mさんは、平成15年頃に結婚をしましたが、平成20年頃からセックスレスの状態が続いていました。
また、平成27年頃から夫は仕事のストレスをMさんにぶつけるようになりました。
このような状況で、Mさんは、夫に何度か離婚の申入れをしましたが、夫はMさんの申入れを真剣に受け止めようとはしませんでした。
そこで、このまま自分で話し合っても離婚ができないと考えたMさんは、やむを得ず、弊所に代理交渉の依頼をされました。
Mさん夫妻の自宅は、築8年程度の戸建住宅であり、時価は約2000万円、残ローンは約2500万円というオーバーローンの状態でした。
また、Mさんはローンの連帯保証人となっていました。
そこで、本件では、夫が離婚の申入れを承諾してくれるか、またオーバーローンの自宅をどのように処分するかが問題となりました。
弁護士の交渉でオーバーローンの自宅を負担せずに離婚成立
Mさんは、自宅を出て行く前に弁護士に依頼をされました。
そのため、弁護士は、Mさんの別居をサポートしつつ、Mさんが自宅を出た翌日、夫に対し協議離婚申入書を送付しました。
しかしながら、夫は、弁護士からの協議離婚申入書に対し、離婚は受入れられず、どうしても直接会って話したいとの要求を続けるのみでした。
そのような場合、すぐに調停に移行することも考えられますが、出来る限り円満に解決したいと考えた弁護士は、Mさんと夫に手紙のやり取りをしてもらうことにしました。
Mさんは、夫への手紙の中で、同居中に感じていた不満だけではなく、楽しかったことや嬉しかったこと等にも触れ、その上でもう一緒に暮らしていくことはできないことを伝えました。
また、弁護士は、離婚を拒む夫に少しずつ心の整理をしてもらうために、夫の対応が遅い場合でも出来る限り夫のペースに合わせて交渉をしていきました。
このような交渉を続けた結果、夫は、次第に離婚に前向きになり、条件面について検討をしてくれるようになりました。
条件面では、オーバローンの不動産をどのように処分するかが一番の問題となりました。
Mさんも夫も不動産に住み続けたいという意思はなかったものの、オーバーローン状態であるため不動産の売却も困難な状況でした。
そのため、弁護士は夫に対し、Mさんの収入状況等から不動産を取得するのは困難であり、夫において不動産を取得して欲しいとの打診を続けたところ、これまでの交渉が円満に進んでいたこともあり、夫がローンごと不動産を取得してくれることになりました。
また、弁護士は、Mさんを連帯保証人から外すために、借入時よりも金利が低くなっているであろうこと等を説明し、夫にローンの借換手続きもしてもらいました。
その結果、Mさんは不動産のオーバーローンのマイナス分を一切負担せず、連帯保証人からも外れることができ、何ら責任を残すことなく新しい生活をスタートさせることが出来ました。
補足
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で形成した財産を分ける制度です。
財産分与は、積極財産(プラス財産)を分ける制度であり、消極財産(マイナス財産)の方が多い場合には、清算的財産分与請求権は発生しません。
もっとも、婚姻中に生じたマイナス財産は夫婦で負うことを前提としているでしょうから、マイナス財産をどのように処理するかの話合いがまとまらなければ協議での離婚を成立させることは困難です。
また、本件のように、ローンの主債務者は夫でも妻が連帯保証人となっているケースが少なくなく、離婚時にしっかり清算ができていなかったために後に紛争が発生してしまうこともあります。
以下では、本件とは別の状況の場合についても、若干の補足を行います。
仮に、オーバーローンの不動産を処分し、債務が残った場合、その債務をどのように夫婦間で処理するかという問題があります(他の財産は存在しない場合)。
まず、この場合においては、マイナスの財産しか残っていないわけですから、清算的財産分与請求権が発生しないことになります。
この場合、マイナス財産の清算という理由で、夫婦平等に債務を負担(2分の1ずつ)という処理もありますが、比較的多くのケースでは、双方の資産や収入等の状況を考慮して、債務の分担割合を決めていくことになります。
そのため、離婚を考える際、プラス財産がないから弁護士に頼む必要はないと安易に判断してしまわず、一度専門家にご相談されることをお勧め致します。
なぜ離婚問題は弁護士に相談すべき?弁護士選びが重要な理由とは?
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