性格が合わない妻と離婚した夫Fさんの事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
ご相談者Fさん
職業:会社員
婚姻期間:5年半
解決方法:協議
離婚を切り出した

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

状況

会社員Fさんは、妻と5年半前に結婚しましたが、性格が合わず、些細なことで喧嘩となっていました。

また、結婚後、セックスレスの状況が続いていました。

Fさんは、妻に離婚を切り出しましたが、応じてくれず、弁護士に離婚交渉を依頼しました。

 

弁護士の関わり

弁護士は、妻に協議離婚の申し入れを行いました。

具体的には、「協議離婚申入書」という書面を作成し、送付しました。

その内容に、①離婚の交渉の窓口は弁護士である自分となること、②当事者同士で直接の接触はやめること、③まずは(弁護士と)電話で話をしてみたいという旨を盛り込みました。

このような内容を盛り込まないと、協議離婚申入書を送ったとしても、一般的に、当事者は弁護士とは話したがらないため(おそらく、怖いというイメージがあるのだと思います)、当事者に連絡をとってしまうことが多いためです。

この妻も、協議離婚申入書の内容に沿い、弁護士まで電話連絡があったので、協議離婚の代理交渉がスタートしました。

しかし、この妻からのファーストコンタクトでは、結論として「離婚には応じない。」という旨を伝えられてしまいました。

たしかに、一般的にも、協議離婚申入書を送付しても、「離婚には応じない。」と言われてしまうことは多々あります。

この場合には、「なぜ」離婚に応じてもらえないのか、という理由を突き詰めることが大切です。

その理由を、離婚条件の提案によって手当できれば、離婚の同意を得られる=協議離婚が成立する可能性が高まるからです。

弁護士は、この妻に対しても、なぜ離婚に応じてもらえないのかを粘り強くヒアリングしました。

すると、離婚後の経済的な不安があることが判明しました。

確かに、この妻は、専業主婦になっていたため、離婚後に、経済的にやっていけるかは大いに不安に感じていたようです。

そこで、弁護士は、依頼人のFさんと相談し、一定の独立援助金を支給できないかを検討しました。

独立援助金とは、法律上の用語ではありませんが、一言でいえば、就職先をみつけるまでの生活費の援助のために一定額を離婚の際に支給するというものです。

不貞行為等の離婚事由(民法第770条第1項参照)が法律上明白でない場合に一定額の独立援助金の支給を提示することは珍しくありません。

では、Fさん側に独立援助金を支給するメリットはどこにあるのでしょうか。

端的に、誤解をおそれずに申し上げると、「時間をお金で買う」ようなイメージです。

通常、離婚事由が性格の不一致等の曖昧な場合、裁判所は長期の別居期間があることを婚姻関係破綻認定のための重要な要素とみます。

長期というのは、婚姻期間と比較する傾向にありますが、短くても2年程度は必要です。

単に時間がかかるだけではありません。

破綻が認められ離婚できるまでの数年間、Fさんは、民法760条に基づく、婚姻費用という生活費の支給義務があります。

Fさんの場合、婚姻費用の適正額(裁判所の計算式に基づく額)は月に10万円でした。

すると、2年間で240万円、3年間で360万円にものぼるのです。

そのような状況と比較すると、今、独立援助金を提示してでも妻の離婚の同意を得るというのは十分にメリットがあるとおわかりいただけるのではないでしょうか。

Fさんもそのように合理的に判断し、妻に対し、独立援助金として、金300万円を提案することにしました。

弁護士は、独立援助金を提示するとともに、①Fさんの離婚の意思は堅いため、別居期間が伸びるといつかは離婚は成立してしまうこと、②その場合には、離婚訴訟になり、妻も弁護士をつけないと対応が難しくなる可能性があること、③今、離婚に同意してもらえると、独立援助金を300万円お支払いできるが、同意してもらえない場合、調停を申し立てることになり、調停では300万円の独立援助金の支払いは撤回すること等を根拠に、粘り強く交渉しました。

その結果、依頼から8か月で、ようやく、妻は離婚に同意し、無事に協議離婚が成立しました。

 

補足

相手が離婚に応じない原因には様々なものがあります。

法律上の離婚原因がない場合、「なぜ」離婚に応じてもらえないかをヒアリングし、その手当をすることが出発的になります。

法律上の離婚原因については、こちらをご参照ください。

 

 





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