解決事例
更新日2020年8月24日

妊娠中の交通事故で傷害慰謝料を裁判基準よりも増額した事例

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

ご相談者Bさん

受傷部位首(頚椎捻挫)、腰(腰椎捻挫)
ご依頼後取得した金額
110万円

内訳
損害項目 弁護士によるサポート結果
傷害慰謝料 85万円(通院5か月 裁判基準以上)
休業損害 25万円
結果 110万円

 

妊娠中の事故でご不安な状態で相談に来られたBさん

解説図Bさんは、信号待ちをしている最中に後続の車から追突されるという交通事故にあいました。

交通事故の際、Bさんは妊娠9か月で臨月に入っているという状態でした。

そのため、交通事故にあったその日に通っていた産婦人科を受診しました。そこで子宮の収縮を指摘され、切迫早産の可能性があるとして薬を処方され、経過フォローとなりました。

その後、Bさんは、首の痛みと腰の痛みがあったため、産婦人科と並行して整形外科にも通院しました。

痛みが強いため、痛み止めの薬を飲みたいところでしたが、妊娠しており強い薬が服用できないため、できる治療が限られる中で治療を続けました。

レントゲン検査も胎児への影響を考えて受診せず、骨折はないだろうという判断のもと、頚椎捻挫、腰椎捻挫と診断されました。

第1子の妊娠でただでさえ慌ただしく、また不安な状態で過ごしているBさんにとって、交通事故によってますます大変な状態になってしまいました。

そのような状態の中で、保険会社とのやりとりをBさん自ら行うことは難しいと感じ、当事務所の弁護士に相談されました。

 

 

切迫早産の危険性など弁護士の交渉で慰謝料の増額に成功

解説図弁護士は、Bさんから交通事故の状況と現在の痛みなどの症状について、ご相談時にお話をうかがいました。

そして、弁護士費用特約に加入されているということで、すぐにご依頼となりました。

そこで、弁護士は、保険会社にすぐに受任通知を発送し、それ以降の保険会社とのやりとりをすべてBさんに代わって行うようになりました。

Bさんは里帰り出産を予定していたため、整形外科についても事故当初に通っていた病院から別の病院へ転院する必要がありました。

そこで、転院についてBさんから相談された弁護士は、現在通院している整形外科に事情を説明し、紹介状をもらうようアドバイスをするとともに、相手方の保険会社に転院する必要性、理由を説明して、引き続き、治療を継続できるよう保険会社とやりとりを行いました。

最終的に5か月ほど治療することで、後遺症も残らずに治療を終了することになりました。

この段階で、弁護士は、保険会社と賠償金の交渉を開始しました。

その際、Bさんが妊婦であり、切迫早産の危険があったことや妊娠していることで治療期間中に治療面だけでなく日常生活でも支障をきたしたことを主張しました。

具体的には、慰謝料を増額し、里帰り出産といえども休業損害が一定程度発生しているとして、その補償を求めました。

保険会社も弁護士が最初の請求の段階で理由を示して、賠償額を請求していたこともあり、弁護士の主張を前提に示談案を検討してくれました。

最終的には、傷害慰謝料を85万円、休業損害を25万円、合計110万円とすることで示談が成立しました。

 

 

弁護士のアドバイス

Bさんの事案における通常の裁判基準の慰謝料額は79万円です。

これは裁判したときの目安額であり、示談交渉に際しては、これよりもかなり低い額を保険会社から提案されることがほとんどです。

今回の事案では、妊婦であることによる不都合を具体的に弁護士が主張したことで、示談の段階で裁判したときの慰謝料の目安を超える慰謝料を獲得することができました。

こうした対応はそれぞれの被害者の方に応じたサポートをきちんと行なっていなければできないものです。

妊娠中の交通事故という本当に大変な思いをされたBさんに適切な補償がなされてよかったと思います。

また、Bさんのように、病院を転院する場合、保険会社とのやりとりが追加で必要となります。

こうしたやりとりは、弁護士に依頼していなかった場合には、被害者の方が自分で行わなければなりません。

さらに、転院はタイミングによっては、保険会社による治療の打ち切りというリスクもあるため、慎重に判断せざるを得ません。

 

 

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