症状固定後、通院していないが異議申立により14級が認定された事例
- 1回目の後遺障害申請は非該当だったが、異議申立てで14級の認定を獲得
- 症状固定後、通院はしていなかった
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
受傷部位 | 首(頚椎捻挫) |
等級 | 14級9号 |
ご依頼後取得した金額 |
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約300万円 |
損害項目 | 弁護士によるサポート結果 |
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傷害慰謝料 | 約80万円 |
後遺傷害慰謝料 | 約110万円 |
後遺障害逸失利益 | 約110万円 |
回収額 | 約300万円 |
※治療費など表には記載していない損害もあります。
状況
Mさん(30代男性)が、普通乗用車に同乗していたところ、後方から走行してきた加害者の車から追突されました。
この事故により、Mさんは、首を痛め、急性頸椎症という診断を受けました。
その後、Mさんは、整形外科に通院することになりましたが、後遺障害が残るのではないか不安になり、当事務所にご相談に来られました。
弁護士の対応
相談時のアドバイス
Mさんは、後遺障害について懸念されていましたので、後遺障害とは何なのか、後遺障害申請までどのような流れを経るのかを具体例を交えながら説明しました。
また、弁護士費用に関しては、被害者車両に弁護士費用特約が付けられていたため、弁護士費用や実費は全て弁護士費用特約で賄うことができることも説明しました。
治療中のサポート
保険会社は事故から5ヶ月を経過した頃に、治療終了の打診をしてきました。
しかし、Mさんに体の状態を確認したところ、痛みは残っており、もう少し通院したいとのことでした。
そこで、弁護士は、Mさんに医師に治療を継続する必要性があるのか確認するよう依頼をしました。
そうしたところ、医師も治療を継続する必要性があるとのことでした。
そこで、弁護士は、相手方保険会社にMさんの具体的な症状や、医師が治療継続の必要性を認めていること等を説明しました。
その結果、すぐに打ち切りにはならず、治療を継続することができました。
後遺障害認定のサポート
その後、Mさんは、治療を継続し、最終的に半年を経過したところで症状固定(痛みが一進一退で医学的にはすぐに治らない状態)となりました。
Mさんの首の痛みは強く残存していたため、弁護士において必要書類の一切を集めて、後遺障害の申請を行いました。
しかし、結果は、後遺障害には認定されず、非該当という結果でした。
Mさんに後遺障害の結果を伝えたところ、Mさんは、首の痛みが残っており、何とか正当な評価をしてもらいたいという希望をもたれていました。
Mさんは、症状固定後、通院を終了していましたが、ご自身でストレッチやシップを貼る等の処置をしていました。
また、弁護士の見解としても、事故状況や治療経過、Mさんの症状の推移などから、Mさんには後遺障害が認定されても良いと判断できる状況でした。
そこで、弁護士において、Mさんの日常生活上、仕事上の支障などをまとめ、診療録(カルテ)などの新たな証拠を添付して、異議申立てを行いました。
後遺障害の異議申し立てについてはこちらをご覧ください。
その結果、認定は覆り、Mさんの首の痛みに14級9号が認定されました。
示談交渉のサポート
この結果に基づき、弁護士は、裁判基準で損害を計算し、保険会社に請求を行いました。
保険会社の回答は、後遺障害逸失利益は、裁判基準での回答でしたが、慰謝料に関しては、裁判基準の80%という提示でした。
そこで、弁護士は、Mさんが首の痛みにより日常生活上、仕事上において、支障が出ていることを説明し、再度検討するよう依頼しました。
そうしたところ、保険会社は、後遺障害慰謝料については、裁判基準の100%、傷害慰謝料については、90%の提示をしてきました。
示談交渉の段階であれば、概ね妥当ともいえる回答でしたが、裁判をして100%の賠償金を回収するという選択肢もありました。
弁護士は、Mさんと方針について相談したところ、Mさんとしては、早期に解決して事故を忘れたいとのことでしたので、裁判まではせず、上記内容で合意することになりました。
弁護士のアドバイス
本事例は、①1回目の後遺障害申請は非該当であったものの、異議申立てで14級の認定を獲得した点、②症状固定後は通院していなかった点に特徴があります。
異議申立てにより14級を獲得した点
1度目の後遺障害申請で非該当(何も等級に該当しない)であったとしても、異議申立てを行うことで、認定が覆り後遺障害が認定されることがあります。
本事例では、異議申立てを行った結果、首の痛みについて14級9号の認定を受けることができました。
異議申立てにあたっては、後遺障害が認定されなかった理由を検証し、後遺障害が残っていることを裏付ける新たな証拠を提出する必要があります。
本事例では、主にカルテの記載を根拠に主張を組み立てることができた点が評価されたと考えられます。
症状固定後、通院していない点
症状固定後の治療費は、被害者自身で負担しなければならないことになります。
つまり、症状固定後に通院するということは、自費で通院しなければならないほど被害者には痛みが残っているのだ、という評価につながりやすくなるのです。
したがって、異議申立てにあたって、症状固定後も通院を継続しているという事実は、痛みが残存していることを示す有力な事実となります。
本事例では、Mさんは、症状固定後、通院を継続されていませんでしたが、カルテや陳述書などで後遺障害が残っていることを示すことができ、無事認定されました。
このように、症状固定後、通院を継続していない場合でも、カルテや被害者の具体的な陳述書、医師の意見書、新たな画像、事故の大きさが分かる資料などの証拠を提示することで後遺障害認定が覆ることもあります。