整骨院の治療を保険会社に拒否されたが、自賠責保険を利用できた事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
受傷部位 | 頸部(頸部捻挫)、腰部(腰部捻挫) |
等級 | なし |
ご依頼後取得した金額 |
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約74万円 |
損害項目 | 弁護士によるサポート結果 |
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傷害慰謝料 | 約74万円 |
休業損害 | 約38万円 |
過失相殺 | 20% |
回収額 | 約74万円 |
整骨院の費用を拒否されたRさん
Rさんは、都市高速道路を走行中に、右車線から進路変更してきた車両に右側面を衝突されました。
この事故により、Rさんは、頸部捻挫、腰部捻挫の傷害を負いました。
Rさんは、自分で物損の交渉をしていましたが、過失割合について納得がいかず、また、相手方保険会社が、整骨院の施術費用の支払いについて、一括対応(保険会社が直接医療機関に対して治療費を支払う対応)を拒否していました。
こうした状況に困り果てたRさんは、当事務所に相談に来られました。
治療費を自賠責保険から回収し、裁判基準での慰謝料で解決
物損について
弁護士は、過失割合について事情を聞いたところ、相手方保険会社の主張は、実務で用いられる過失割合の書籍(別冊判例タイムズ「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準)に概ね沿った主張でした。
ただ、弁護士は事故状況を精査するために警察の作成している実況見分調書を取り寄せました。
内容を確認すると、車線変更をするにあたって加害者側の安全確認が不十分であると思われる事情がありました。
そこで、弁護士において、その点について、相手方保険会社と交渉し、過失割合がRさんに有利に変更されるべきであることを具体的に主張しました。
そうすると、当初、Rさんの過失を30%で譲らなかった保険会社が、20%までなら譲歩するという提示があり、そのまま合意することができました。
人損について
Rさんは、仕事などの関係で開院時間が短い整形外科に通院することが難しかったため、整骨院での治療を希望されていました。
しかし、相手方保険会社は、整骨院での治療は認めず、整骨院については一括対応をしないと主張してきました。
この点について、弁護士においてもかなりの交渉をしましたが、保険会社の対応は変わりませんでした。
そこで、整骨院については、治療が終了してから自賠責保険に請求(被害者請求といいます。)をすることとして、整骨院での治療を継続されました(下記の補足に記載しているようにこのような対応はリスクがあるので注意が必要です)。
最終的に治療が終了した後、弁護士において、整骨院での施術費用を自賠責保険に請求をし、無事にすべての施術費用を回収することができました。
その後、相手方保険会社と示談交渉を行いましたが、相手方保険会社は特に整骨院での施術費用について争ってくることもなく、慰謝料は裁判基準での解決をすることができました。
解説
物損について
交通事故において、過失割合が争点になるケースは多いです。
被害者側として適切な過失割合を主張するためには、以下のような証拠の確保が重要です。
- ドライブレコーダー
- 周辺の防犯カメラ
- 事故車両の写真
- 刑事記録
- 目撃者の証言
弁護士が介入した場合は、これらの資料から事実関係等を精査し、過去の判例等を調査し、適切な主張立証をするよう心掛けます。
整骨院治療について
保険会社の担当者の中には、整骨院での治療は医師の書面での指示がないと認めないという者もいます。
なぜかと言うと、整骨院での施術費用等は、裁判例上、「症状により有効かつ相当な場合、ことに医師の指示がある場合などには認められる傾向にある」とされているからです。
しかし、医師が書面で整骨院の指示をすることなど、ほとんどありません。
医師としても、自らのあずかり知らないところで治療することになるため、書面での指示はしづらいのです。
こうした場合には、本件のように自賠責保険を利用することで、整骨院の施術費用も補償してもらうことができます。
ただし、注意しなければならないのは、自賠責保険であれば絶対に整骨院の施術費用が支払われるというわけではないことです。
ケースによっては支払われない場合もありえます。
例えば、医師が診断していない部位について整骨院で施術されている場合、その施術部分の施術費用は自賠責保険においても認定されないことが多いです。
もし、支払われなかった場合には、施術費用は全て自己負担ということになります。
こうしたリスクを十分に理解した上で、本件のような対応をとることが大切です。
また、整骨院と併用して病院にもできるだけ通院するようにしてください。
なぜなら、後遺障害申請の可能性がある事案では、申請に必要な後遺障害診断書を書けるのは、病院の医師だけだからです。
交通事故に遭われて、整骨院治療に関してお悩みの方は、弊所の弁護士にぜひご相談ください。