11級7号で後遺障害逸失利益が67歳まで認められた事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
受傷部位 | 腰部など (腰椎破裂骨折など) |
等級 | 第11級7号 |
ご依頼後取得した金額 |
---|
約1600万円 |
損害項目 | 弁護士によるサポート結果 |
---|---|
傷害慰謝料 | 約220万円 |
後遺傷害慰謝料 | 約420万円 |
後遺障害逸失利益 | 約850万円 |
その他損害 | 約110万円 |
回収額 | 約1600万円 |
※その他にも治療費など記載していない損害もあります。
状況
Sさん(事故当時33歳)は、Sさんの車を友人に運転してもらい、Sさん自身は助手席に乗車していました。
そうしたところ、友人がハンドル操作を誤り外壁に衝突する事故を起こしました。
この事故により、Sさんは腰椎破裂骨折の重傷を負いました。
Sさんは、緊急搬送され手術を受けるなどして、そのまま入院せざるを得なくなりました。
退院した後もリハビリのために継続的に通院をして、1年半を経過したころ、症状固定となりました。
しかし、事故を起こしたのが、Sさん自身の車であったため、自賠責保険に対して後遺障害の申請ができませんでした。
Sさんとしてはどうしてよいのか分からないため、そのまま何もせずに過ごしていたところ、相手方の弁護士から債務不存在の確認の訴えが提起されたのです。
突然、裁判を起こされたSさんは驚いて、弊所まで相談に来られました。
弁護士の対応
Sさんとしては、自分は完全な被害者なのに、突然、裁判を提起されたことに非常に驚いていました。
とてもSさん一人で対応できないということで、すぐに弊所にご依頼されることになりました。
弁護士が、裁判資料を確認したところ、相手の請求は、Sさんがケガをしたことについて、相手方自身に責任があることは認めるものの、ある一定額しか責任は負わないといった内容の主張でした。
しかし、相手自身が、責任を負うと認めている賠償金額は、明らかに低額なものでした。
後遺障害は認められておらず、傷害慰謝料も裁判基準とは大きく乖離した金額だったのです。
そこで、弁護士において、Sさんに後遺障害が残存していることを証明するために資料を収集しました。
最も重要な証拠は、骨に異常があることを示す画像所見です。
レントゲンやCTなどで、骨に異常があることを証明する必要があるのです。
今回の件では、Sさんには腰の痛みが残っていましたし、腰椎を破裂骨折しているため、腰椎が変形している可能性がありました。
そこで、弁護士は、Sさんの画像の一切を取り寄せ、医師に画像を鑑定してもらい画像について意見をもらいました。
そうしたところ、やはりSさんの腰の骨は一部変形しており、それが痛みの原因となっていることが分かりました。
弁護士は、こうした証拠に基づき、Sさんには後遺障害が残存しており、賠償額はもっと高額であるといったことを内容とする反訴提起を行いました。(※反訴提起については「補足」で説明します。)
裁判においては、双方何度か主張と反論を繰り返します。
今回の件でも何度か主張と反論を行ううちに、後遺障害は11級7号が妥当な等級であると考えられました。
11級7号は、後遺障害逸失利益が限定的(労働能力喪失期間が制限される)にしか認められないことが多くあります。(理由は、「補足」で説明します。)
しかし、今回の件では、Sさんの痛みの残存の程度や仕事への支障の程度などから、逸失利益を限定的にすべきでないと思われる事案でした。
そこで、弁護士は、Sさんには痛みが残存しており、その痛みにより仕事に支障が生じていることを具体的に主張しました。
そうしたところ、相手方も逸失利益を最大限(67歳まで)認め、最終的には合計約2000万円で和解することができました。
弁護士のアドバイス
反訴提起とは
反訴提起とは、簡単に言うと、相手から裁判を起こされた場合に、その裁判と関連する事柄について、こちらからも裁判を起こすというイメージです。
今回、相手方は、本件交通事故についてある一定額以上は賠償しませんという裁判を起こしました。
これに対して、Sさんは、本件交通事故の賠償金はもっと高額だからそれを支払ってくださいという反訴提起を起こしたのです。
後遺障害等級11級7号
11級7号は、「脊柱に変形を残すもの」に該当する場合に認定される等級です。
つまり、変形していれば痛みがなくても認定されうる等級なのです。
したがって、保険会社側からは、ただ骨が変形しているだけであり、労働には支障がないはずなので、後遺障害逸失利益は発生しない、あるいは発生したとしても5年や10年程度であるといった主張がされることがあるのです。
こうした主張は一定程度認められる傾向にあります。
しかし、骨が変形しているのですから、実際は痛みも残っていて仕事に支障が出ていることもあるはずです。
ですから、被害者側の弁護士としては、変形により痛みや、体の動かしづらさがともなっていること、そうした症状により仕事に支障が出ていることを十分に主張立証して、後遺障害逸失利益が限定的に認定されないように工夫しなければなりません。
脊柱の変形障害で約2100万円の賠償を獲得した事例はこちらをご覧ください。