訴訟で物損・人損のいずれも賠償額の増額に成功した事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
受傷部位 | 首(頚椎捻挫)、腰(腰椎捻挫) |
ご依頼後取得した金額 |
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約160万円(治療費を除く) |
主な損害項目 | サポート前 | 弁護士によるサポート結果 |
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物損 | 修理費用+1週間分の代車費用 | 修理費用+30日分の代車費用 |
過失割合 | 20% | 5% |
傷害慰謝料 | - | 89万円(裁判基準満額) |
休業損害 | - | 約70万円 |
最終支払額 | - | 約160万円(治療費を除く) |
状況
Eさんは、2車線道路の左側車線を走行していたところ、追越車線から車線変更してきた相手方車両に衝突されるという事故に遭いました。
修理費は20万円弱程度でしたが、事故直後からEさんは頸部と腰部に痛みを感じ、整形外科に通院することとしました。
ところが、当初相手方保険会社は修理費がそれほどかかっておらず、大きな事故ではという理由で、事故後わずか1ヶ月足らずで治療費の支払いを打ち切るようEさんに求めてきました。
また、過失割合についても、Eさんの車にドライブレコーダーがついており、映像を提供したにも関わらず、車線変更中の事故の基本過失割合である2:8を主張し、それを変更することはありませんでした。
そのため、困ったEさんは、交通事故の専門家である弁護士に相談することにし、相談の結果、デイライト法律事務所に依頼されました。
弁護士の対応
弁護士は、まず、Eさんの痛みが継続しており、医師も通院の必要性を認めているとして、治療費支払いの延長を求めました。
弁護士は、Eさんの症状や通院状況を定期的に確認し、通院の必要性を保険会社に丁寧に説明しました。
その結果、Eさんは、事故後約6ヶ月間、治療を継続することができました。
一方、過失割合については、双方折り合いがつかず、訴訟外での示談交渉は難航しました。
また、それに伴って、Eさんの車の修理が進まず、長期間代車を使用することになったため、代車使用料の補償期間も争いとなりました。
そのため、弁護士は訴訟を提起し、物的損害・人的損害を一挙に解決する方針を立てました。
そこで、まず、自賠責保険に対して被害者請求を行って自賠責保険金約40万円を回収し、その上で訴訟を提起しました。
訴訟については、以下のような点が争点となりました。
代車使用料
保険会社は、代車使用料について、訴訟になる前には一週間分の代車使用料のみ支払うと主張し、訴訟になると、代車使用の必要がないことから、代車使用料は損害として認められないと主張していました。
これに対し弁護士は、部品の取り付けに相当期間が必要であるほか、過失割合についての話し合いがまとまらず、過失割合が確定しなかったことにより代車使用期間が長引いたことを証拠とともに主張しました。
その結果、一般的に2週間分程度とされる代車使用料について、30日分の代車使用料を損害として認定してもらうことができました。
通院慰謝料
相手方保険会社は、Eさんの整形外科通院が少なく、負傷の程度もそれほど重大でないとして、慰謝料は多くても80万円であると訴訟において主張していました。
これに対し、弁護士は、Eさんの事故による頸部の痛みが事故後一貫して継続したことを、医師の診断書や診療録などの客観的資料に基づいて主張しました。
その結果、慰謝料については、裁判基準満額である89万円を認定してもらうことができました。
休業損害
Eさんは、夫と小学生の子供と同居しており、主婦として家事を行っていました。
そこで、弁護士は、Eさんに主婦としての休業損害が発生していることを主張しました。
一方、相手方保険会社は、Eさんが専業主婦ではなく、パートタイマーとしても働いていたことを捉えて、主婦としての休業損害は発生しないと主張してきました。
そこで、弁護士は、Eさんが日常、どのような家事を行なっているかを細かに聞き取り、1日のEさんの家事の内容を丁寧に主張しました。また、事故により、どの程度家事ができなくなったかを、具体的に主張しました。
その結果、主婦の休業損害として70万円を認定してもらうことができました。
過失割合
本件事故は車線変更中の事故であったことから、相手方保険会社は、車線変更中の基本過失割合をもとに、Eさん:相手方=2:8が妥当であると主張していました。
しかし、Eさんの車にはドライブレコーダーが搭載されており、弁護士がその映像を確認したところ、相手方の車はEさんがほぼ真横にいた時点で車線変更を開始しており、ウインカーをあげていたとしてもEさんからは見えない位置で車線変更していました。
そこで、弁護士は、Eさんが相手方の車が車線変更してくることを予見することはほぼ不可能であり、回避行動を取ることもできないことを主張しました。
その結果、車線変更事故の基本過失割合が修正され、Eさん:相手方=5:95と認定してもらうことができました。
結果
以上の結果、Eさんは、医療機関に直接支払われた治療費を除いて、訴訟において約120万円の賠償金を認めてもらうことができました。
最終的に、訴訟を提起する前に自賠責保険から回収した約40万円と併せると、約160万円の賠償金を受け取ることができました。
弁護士のアドバイス
訴訟による解決
訴訟による解決には以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- 裁判基準満額で慰謝料を獲得できるため、基本的には示談よりも賠償金が高くなる傾向にある。
- 裁判官による公平な判断が期待できる。
- 判決や訴訟上の和解を確定させることで強制執行ができるようになる。
など
デメリット
- 立証のハードルが高いため、証拠が揃わなければ、こちらの主張が認められず賠償金が下がってしまうリスクがある。
- 示談や調停などよりも時間がかかる。
- 尋問などに移行した場合、裁判所に本人が出向く必要がある。
など
以上のように、訴訟による解決は、メリットもありますが、きちんと資料を揃えて準備しなければ、かえって示談よりも不利な解決となってしまうこともあります。
そのため、示談段階での交渉状況を踏まえ、訴訟に移行するかは、専門家である弁護士に判断してもらうべきと言えます。
過失割合や賠償金額でなかなか保険会社と折り合いがつかない場合は、まずは弁護士に相談し、最適な解決策を選択できるようにしましょう。