交通事故で治療中に追突事故。弁護士により両方の事故を解決した事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
受傷部位 | 首(頚椎捻挫)、腰(腰椎捻挫) |
等級 | 併合14級(首痛14級9号、腰痛14級9号) |
ご依頼後取得した金額 |
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337万円(2事故合計、自賠責保険含む) |
▶︎ 1事故目
損害項目 | 弁護士によるサポート結果 |
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傷害慰謝料 | 90万円(通院7か月、90%強) |
休業損害 | 17万円 |
後遺障害慰謝料 | 110万円(14級、裁判基準) |
後遺障害逸失利益 | 50万円(年収×5%×5年、裁判基準) |
結果 | 267万円(自賠責保険含む) |
▶︎ 2事故目
損害項目 | 弁護士によるサポート結果 |
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傷害慰謝料 | 70万円(通院4.5か月) |
休業損害 | 25万円 |
後遺障害慰謝料 | 1事故目と連帯責任 |
後遺障害逸失利益 | 1事故目と連帯責任 |
結果 | 70万円 |
事故治療中に弁護士に相談することにしたWさん
Wさんは、友人の車に乗ってドライブに出かけた際、雪道で上り坂を登っていたところ、スリップしてしまい、そのまま壁に激突する自損事故にあってしまいました。
友人の加入していた保険会社から治療費などの対応をしてもらうことになりましたが、Wさんはこの交通事故により救急車で搬送され、翌日からは整形外科に通院するようになりました。
幸い、骨折などはなく、頚椎捻挫、腰椎捻挫と診断されました。
その後、Wさんは週に2回程度整形外科に通院し、痛み止めの薬も飲んでいましたが、なかなか症状が改善しませんでした。
事故から6か月ほど経過した段階で保険会社から、「そろそろ治療を終了する方向で話を進めたい」と連絡があり、対応の仕方がわからなかったWさんは、弁護士に相談することにしました。
事故治療中にまた追突され怪我を負ったWさん!弁護士の対応
弁護士は、Wさんから事故の内容と現在の症状のことを相談時にうかがい、6か月近くたった時点でも頚部痛と腰部痛が改善していないということであれば、後遺障害の申請を行う方向で検討しなければならないと考えました。
そこで、すぐにWさんからご依頼いただいて、保険会社へ受任通知を送付し、今回の交通事故に関する記録や診断書といった資料の取り寄せを依頼しました。
そうしたやり取りをしていた最中に、Wさんは再度、交通事故にあってしまいました。
今度は駐車場でシートベルトを外して休憩していた最中に、相手方の車が誤って追突してきたという追突事故でした。
Wさんから、事故の報告を受けた弁護士は、2回目の事故で負傷した場所も首と腰であるということだったため、当初予定していた最初の事故の分での後遺障害申請を一旦保留して、改めて整形外科での治療を継続してもらうことにしました。
その際、最初の交通事故の保険会社にも事情を説明し、2回目の事故以降の治療費については、2回目の事故の保険会社に全額負担してもらうように保険会社同士の調整を弁護士が行いました(多くの場合、保険実務においてはこのような運用がなされています)。
そして、2回目の事故から4か月ほど治療をしたところで、最初の交通事故からも1年近く経過したことも踏まえ、主治医から症状固定の話が出てきたので、後遺障害診断書を作成することになりました。
このとき、2つの交通事故のそれぞれの自賠責保険に後遺障害の申請を行うために、弁護士が主治医に連絡して、後遺障害診断書の治療期間の項目など、記載の仕方もサポートしました。
できあがった後遺障害診断書と事故資料を整理して、2つの自賠責保険へ同時に後遺障害の申請を行いました。
その結果、頚部痛と腰部痛それぞれについて、2つの事故が影響しあったとして、併合14級の認定を受けました。
後遺障害の結果を踏まえて、1つ目の事故の保険会社と2つ目の事故の保険会社それぞれに示談交渉を開始しました。
双方の保険会社とも当初は、すでに自賠責保険から受領した保険金の既払金の処理の仕方を誤っているなど、不十分な賠償提案となっていました。
そのため、弁護士が既払金の処理方法をきちんと説明した上で、自賠責保険金だけの補償では後遺障害の補償は不十分であると主張しました。
最終的には、1つ目の事故の保険会社が後遺障害の補償を裁判基準で算出して対応するとの回答でしたので、先に1つ目の事故について示談を行い、その後に、2つ目の事故については、慰謝料と休業損害の交渉を行ってこちらも示談を成立させました。
この2つの交通事故に関して、Wさんは合計で337万円の賠償を得ることができました。
弁護士のアドバイス
今回のWさんの事例のように、交通事故で治療中に再度交通事故にあうというケースもあります。
この場合、同じ部位を負傷したとすると、最初の事故と後の事故とが連帯責任の関係になります。
こうした関係のことを法律上は不真正連帯債務といい、異時共同不法行為として処理しなければなりません。
仮に、今回のケースでWさんが後の事故の治療をせずにそのまま後遺障害の申請を行ってしまえば、連帯責任という形では処理できなくなってしまう可能性があります。
連帯責任と認められれば、両方の自賠責保険から賠償を得ることができます。
今回のWさんの例でいうと、最初の交通事故に関する自賠責保険から14級の限度額である75万円を、後の交通事故の自賠責保険から同じく75万円を受け取ることができ、合計で150万円を受領することができるのです。
最終的に、1つ目の事故の保険会社が裁判基準どおりの支払いに比較的早い段階で応じたのは、75万円をあとの事故の自賠責保険が負担しているからという事情もあります。
加えて、異時共同不法行為の場合は、傷害部分の自賠責保険の限度額は、240万円(通常は120万円)となります。
ただし、これはあくまで限度額が2倍になるという意味で、2倍の金額を請求できるということではない点に注意が必要です。
また、異時共同不法行為の場合に、1つ目の事故の保険会社から「傷害部分のみ先に示談しましょう」と提案されることがあります。
しかし、1つ目の事故の傷害部分を先に示談しても良いかは、事案に応じた判断が必要になります。
このように、異時共同不法行為については、後遺障害の申請のタイミングや示談交渉のタイミング、順番など、注意しなければならない点が多くあります。