セクシュアルマイノリティについて
セクシュアルマイノリティやLGBTという言葉は、最近ではニュース等でしばしば耳にするようになり、少しずつ世間にも認知されてきたといえます。
しかし、その意味や置かれている現状について正しく理解している人は多くありません。
このページでは、少し法律問題とは異なる面からもセクシュアルマイノリティに関する問題について、説明していきたいと思います。
なお、このページは、一般の方にセクマイのことをわかりやすく説明するもので、正確な定義などをお伝えするものではないということにはご留意ください。
セクシュアルマイノリティとLGBT
セクシュアルマイノリティ(セクマイ)は、LGBTと同義なのでしょうか。
LGBTは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を並べたものだといわれますが、セクマイは性的少数者と訳され、LGBTよりも広い概念となっています。
なお、異性愛という言葉はあまり使われないですが、異性愛の方を「ストレート」や「ノンケ」といった言葉で表すことがあります。
LGBTってなに?
では、一括りにされているL、G、B、Tは、一緒なのでしょうか?
まず、一般的に言えば、①生物学的な性、②性的指向、③性自認の3つがあると言われています。
①は、学問的にいえば、男性か女性かという程度のことです。
②は、平たく言えば、男性と女性のどちらを好きになるかということで、恋愛対象のことだと考えればわかりやすいと思います。
③は、自分が男か女か、という自分のことをどう感じているかです。
L、G、Bは、②性的指向による区別ということになります。
要は、LとGは同性が恋愛対象であって、Bはどちらの性も恋愛対象だということになります。
では、トランスジェンダーは、どうかといえば、生物学的には男性なのだけど、気持ちは女性の方、逆に生物学的には女性だけど気持ちは男性の方ということになります。
前者の方は、male to femaleでMTF、後者の方は、female to male でFTMなどという呼称の仕方をすることもあります。
また、性同一性障害というのは、法律的なものであって、トランスジェンダーと同義とはいえませんので、そこは勘違いしないようにしましょう。
トランスジェンダーでバイセクシュアル
トランスジェンダー(MTF)でバイセクシュアルということがありうることが、以上の説明からわかっていただけると思います。
普通の方は、LGBTと並べられているとそれらは両立しないと思うのではないでしょうか。
しかしながら、性的指向と性自認は全く異なるものなので、生物学的な性は男性で、性自認は女性、恋愛対象は男女両方ということはありうるのです。
用語の使い分けが大事なわけではないですが、LGBTといった場合に、異なる次元の話を一緒くたにしていることには注意が必要なのです。
男女しかいないのか
ここまでの説明で、鋭い方だと、上記の説明は不十分ないし不完全であることにお気づきだと思います。
上記の説明は、男女のどっちかの存在を前提としています。しかし、インターセクシュアルと呼ばれる生物学的に男女どちらとも区別できない方がいらっしゃいますし、また、性自認においても、自分は男性でも女性でもない、という自己意識を持った方がいます。
ここに書いていないセクシュアルマイノリティの方もいます。
大事なのは、上記の分類を覚えることではなく、こういった人たちもいるのだと認識することであり、男女という狭い枠にとらわれない意識を持つことです。
セクシュアルマイノリティの数
身近にセクシュアルマイノリティの人がいるかと聞かれると、友人や知り合いにはいないという回答が未だに多いように思われます。
しかし、人口の7.6%の方がセクシュアルマイノリティであるという電通総研の調査結果が出されており、約13人に1人、学校の教室内(30人程度)には2人以上のセクシュアルマイノリティの人がいることになります。
この調査結果はにわかには信じられないという人も多いかと思います。
しかし、セクシュアルマイノリティの方はその事実を隠し、暮らしている方も多いというのが現状であり、だからこそ調査結果に反して、「セクシュアルマイノリティの人は身近にはいない」と答える人が多いのです。
セクシュアルマイノリティの方の現状
セクシュアルマイノリティについて、学校で教育を受けた方はどのくらいいるでしょうか。
多くの方は、教育を受けていないか、受けても理解不十分な教育しか受けていないのが現状のようです。
テレビでセクシュアルマイノリティのタレントが出演することが増え、行政でもパートナーシップ証明書の発行がされるなど、その認知は高まってきたにも関わらず、未だに教育は不十分でセクシュアルマイノリティに対して理解は進んでいません。
そのため、多くのセクシュアルマイノリティの方々が、カミングアウト(セクシュアルマイノリティであることを友人や家族に言うこと)をできず、自分を隠して生活しているのです。
また、事実を隠し、適切な情報を得られない現状では、セクシュアルマイノリティの方がトラブルに巻き込まれやすいということもいえます。
自殺未遂の率が高いという調査結果があったり、同性愛の方は薬物使用やHIV感染のリスクが高いといった調査結果もあり、トラブルを抱えたセクシュアルマイノリティの法律的な相談窓口が必要といえます。
行政や民間でも相談窓口を行っているところはありますが、法律問題まで相談をすることはできません。
一方、福岡県弁護士会でもLGBT法律問題110番と題する無料相談を2016年11月に行っており、法律問題に対する相談窓口が試みられました。
しかし、恒常的に法律相談をできるところはあまりありません。東京ではセクシュアルマイノリティに理解のある弁護士事務所も多少ありますが、福岡ではほとんどないといえます。
当事務所は、LGBT問題に真剣に向き合い、取り組んでいる数少ない弁護士事務所です。