- 公園で遊んでいたら大怪我をした
- 子どもが近所の犬に噛まれて怪我をした
- ご近所に子どもを預けていたら転倒して大怪我をした
ここでは、このような子どもの人身障害事故について、解説します。
公園での事故
例えば、子どもが公園(市が管理)のブランコで遊んでいたら、鎖が切れたため転落し、脳に障害を負ってしまったような場合、誰にどのような賠償請求をできるのでしょうか。
子どもが遊ぶために設置されている公園で、このような痛ましい事故が発生すると、親として子どもをどこで遊ばせたらいいのか途方に暮れてしまいます。
責任主体
このようなケースの場合、まず請求の相手を確定しなければなりません。
この点、国家賠償法2条1項は、「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」と規定しています。
この規定でいう「公の営造物」とは、国や公共団体の特定の目的に供される有体物や物的設備をいうとされ、公園のブランコはこれに該当することになります。
したがって、上記のケースでは、請求の相手は公共団体(市)ということになります。
要件
次に、「設置又は管理に瑕疵があった」という要件を満たすかを検討しなければなりません。
この「設置又は管理に瑕疵があった」とは、営造物が通常備えるべき性質または設備を欠くこと、すなわち本来の安全性に欠けている状態をいうと考えられています(客観説)。
そして、最高裁判所は、「営造物の設置または管理に瑕疵があったとみられるかどうかは、当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的個別的に判断すべきものである」と判示しています。
本件の場合、本来安全でなくてはならないブランコの鎖が切れたのですがから、「設置又は管理に瑕疵があった」といえます。
損害賠償の内容
損害賠償の内容としては、治療費、慰謝料、後遺障害に基づく将来の逸失利益、裁判の際の弁護士費用について、公園を管理していた市に対して、請求可能です。
損害賠償の内容については、こちらをご覧ください。
動物の事故
例えば、子どもが近所の犬にかまれて大怪我を負ってしまったような場合、その飼い主に賠償請求をできるのでしょうか。
動物の損害賠償義務
動物の事故において、故意または過失により他人の権利(生命、身体または財産)を侵害した場合、それによって発生した損害を賠償する義務を負います(民法709条)。
また、民法718条は、動物の占有者はその動物が他人に加えた損害を賠償する責任があると規定しています。
ただし、動物の占有者が動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、賠償責任を負わないと規定しています。
飼い主の過失の有無の判断にあたっては、条例違反の有無等が参考となります。
福岡市の場合、条例において犬の飼い主の遵守事項として、次のとおり規定しています(なお、他の公共団体でも条例の内容について、ほとんど変わりはありません。)。
- 人の生命,身体及び財産を侵害し,かつ,逸走するおそれがないよう,犬をさく,檻その他の囲いの中で飼養し,又は綱,鎖等で固定物に確実につないで飼養すること。
- 人の生命,身体及び財産を侵害し,並びに他人に迷惑を及ぼすことのないよう犬に適切なしつけを施すこと。
本件の場合、犬の飼い主がさく、檻等を飼養していたのか不明ですが、仮に、これらを行っていたとしても、適切なしつけを行っていたことを主張立証しなければ、賠償義務を負う可能性が高いといえます。
損害賠償の内容
損害賠償の内容としては、治療費、慰謝料、後遺障害に基づく将来の逸失利益、裁判の際の弁護士費用について、飼い主に対して、請求可能です。
損害賠償の内容については、こちらをご覧ください。
過失相殺
一方的に犬が子どもを噛み付いた場合、犬の飼い主が100パーセントの責任を負うことになります。
しかし、子どもの方にも落ち度があった場合、過失相殺が問題となります。
例えば、子どもが飼い主の自宅に侵入したため噛みつかれたような場合です。
このような場合は、飼い主から過失相殺がなされ、賠償額が減額されることになるでしょう。
上記のような子どもの公園での事故や、動物の事故にお困りでしたら、まずはデイライト法律事務所にお気軽にご相談ください。
ご相談の流れはこちらをご覧ください。
なお、子どもの学校事故については、こちらをご覧ください。