● 家電製品の欠陥でやけどをした
● 自動車のブレーキが効かずに事故を起こし、大怪我をした
● フィットネスマシーンを購入してトレーニングしていたら、用具のネジが外れて怪我をした
ここでは、このような欠陥商品による人身障害事故について、解説します。
製造物責任とは
製造物責任とは、製品の欠陥により消費者が生命・身体・財産に損害を被った場合、製造者などに賠償責任を負わせることをいいます。
この責任を認めるためには、従来の法律(民法の不法行為)では、被害者は、加害者(製造業者)に過失があり、さらに商品の欠陥と損害発生との間に因果関係が存することについて、主張・立証しなければなりませんでした。
この立証は簡単ではなく、被害者の救済に問題があったため、製造物責任法が制定されています。
責任主体
製造物責任は、製造業者が責任を負います。
製造業者とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
①当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
②自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
③前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
【部品や原材料の製造業者】
部品や原材料の製造業者については、その部品、原材料を使用して製造された他の製造物の欠陥に起因している場合には、原則として製造物責任を負います。
ただし、その欠陥がもっぱら他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことについて過失がないことを証明したときは、責任を負いません。
【販売業者やサービス提供業者】
輸入業者については、政策的な見地から製造物責任が認められていますが、輸入業者以外の販売業者やサービス提供業者について、製造物責任は認められません。
これらに対しては、民法上の瑕疵担保責任や債務不履行の問題として責任を追求することとなります。
製品の欠陥とは
製造物責任では、「製造物の欠陥」があれば、賠償請求が可能となります。
ここでいう「欠陥」とは、「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう」と規定されています。
免責事由
製造物責任は、製造業者に重い責任を課していますが、製造業者が次の事項を証明したときは、賠償の責めを負わないと規定しています。
①当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
②当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。
ただ、上記について、製造業者が立証するのは通常は困難と考えられます。
損害賠償の範囲
くわしくは、「賠償金の計算方法」をご覧ください。
消滅時効の問題
製造物責任については、消滅時効に注意が必要です。
すなわち、損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から3年間で時効によって消滅します。また、製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年を経過したときも、時効によって消滅します。
ただし、上記の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算することになります。
欠陥商品による事故でお困りでしたら、まずは、福岡にあります当事務所にお気軽にご相談ください。