● 学校で子どもが体育中に大怪我をした
● 学校設備の不備で子どもた授業中事故に遭い、怪我をした
● 加害者生徒がいじめを行い、子どもが怪我をした

119536ここでは、このような学校での人身障害事故について、解説します。

学校事故の特殊性

学校のイメージ画像学校事故の特殊性は、被害者(生徒)の心身が十分に発達していないということです。したがって、学校側には、事故防止のための配慮が厳しく求められます。

また、もう一つの特殊性は、事故が学校教育という特殊な場で起こることです。

加害者(例えば、教師)としては事故を望んでなどおらず、むしろ被害者(生徒)の成長を願うあまりの熱心さが、たまたま不幸な結果を招いたという場合もあります。このような場合、被害者が裁判を提起すると、逆に被害者側が周囲から非難されるというリスクもあります。

しかし、このようなリスクをおそれて泣き寝入りしてはいけません。

学校事故が起きたときには、原因は何だったのか、また、それは避けられなかったのか、などについて学校側とよく話し合いをするべきです。話し合いの末、学校側に非があることが明らかなのに、誠意が見られないときは、裁判も検討すべきです。

 

 

学校事故の責任主体及び根拠

①教師個人

学校において、教師の不法行為または安全配慮義務違反によって生徒が人身障害を負った場合、その教師が損害賠償の責任を負います。
その根拠は、民法709条の不法行為、同415条に基づく安全配慮義務違反です。
しかし、生徒が重症を負ったような場合、教師個人には、賠償能力がないのが普通です。

そこで、②ないし③を検討します。

②国公立学校での事故の場合

国公立学校では、加害者である教師は公務員となります。
したがって、国立の場合は国、それ以外場合は公共団体(福岡県、福岡市など)が賠償責任を負うこととなります。
加害者である教師の行為について、国または公共団体が責任を負う根拠は、国家賠償法1条です。この法律によれば、被用者である教師の行為について、国または公共団体が責任を負うことになります。

 

③私立学校での事故の場合

私立学校の場合は、責任主体は、当該学校の設置者である学校法人となります。
加害者である教師の行為について、学校法人が責任を負う根拠は、民法715条の使用者責任です。この法律によれば、被用者である教師の行為について、使用者である学校法人が責任を負うことになります。

 

④加害生徒

生徒によるいじめなどのような生徒間の事故の場合、加害生徒に責任能力があれば、加害生徒が賠償義務を負います。民事上の責任能力とは、自己の行為の是非がわかり、かつ、それにしたがって行動できる能力のことをいい、通常は12〜13歳で備わると考えられています。したがって、加害者が中学生以上であれば、責任能力は認められる可能性が高くなります。しかし、現実には未成年者には賠償能力がありません。そこで、⑤を検討します。

 

⑤加害生徒の両親

加害生徒に民事上の責任能力がない場合、その法定の監督義務者である者(通常は両親)が責任を負います。両親等が代わりに責任を負う根拠は、民法714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)です。

ただし、同条項は、監督義務を負う者が、自らの監督義務を果たしていたことを証明すれば責任を免れることができることも規定しています。

また、注意が必要なのは、④で説明したとおり、加害生徒が中学生以上になれば、責任能力が認められる可能性が高くなります。この場合、民法714条に基づき、両親等へ損害賠償請求を行なうことはできません。

ただし、加害生徒に責任能力が認められたとしても、両親が普段から加害生徒を監督していなかったような場合、民法709条の不法行為責任に基づき、損害賠償を請求できる可能性もあります。

また、生徒間の事故が学校生活で発生したような場合、学校が責任を負い、両親などは責任を追わない可能性もあります。

これは、学校で教師の監督下におかれている以上、法定の監督義務者はその限りで監督義務がないと考えられるからです。
学校事故においては、損害賠償の範囲だけでなく、上記のような責任主体についても問題となります。

まずは、福岡にあるデイライト法律事務所にお気軽にご相談ください。