総合HPコラム 「まんだらけ」事件にみる企業リスク 先日、中古ショップ「まんだらけ」が、自店の商品を盗んだ万引き犯の顔写真をインターネット上で公開すると宣言し、話題になりました。 結果として、まんだらけは、警察の求めに応じる形で顔写真を公開せず、先日、犯人も逮捕されました。
まず、顔写真を公開した場合、刑法上の名誉毀損罪(刑法232条)や脅迫罪(刑法222条)に問われる可能性があります。
まんだらけが写真を公開することで、万引き犯とされる人物は、自身が万引き犯であるという、自身の名誉を傷つけるような情報を、不特定多数の人が容易に知りうる状態におかれることになりますので、名誉毀損罪にあたりえます。
また、名乗り出なければ顔写真を公開すると言う警告は、万引き犯とされる人物の名誉に対し害悪を与えることを告知しているといえますので、脅迫罪にあたりうるのです。
また、報道を見る限り、まんだらけが公開しようとしていた写真は、万引きをしている現場や商品を持っているものではありませんでしたので、写真の人物が万引き犯ではなかった場合には、当該人物が被る被害は計り知れません。
この場合、店側は、民事上の慰謝料請求等を受けるリスクもあるでしょう。
また、まんだらけは古物商であるので、営業するには、古物営業法に基づき公安委員会から許可を受ける必要がありますが、仮に名誉毀損罪・脅迫罪に問われ、禁固以上の刑に処せられた場合には、許可を取り消されるおそれもあります。
さらに、法に則らない自力救済という形にもなりかねない、顔写真公開という手法には、批判的な見解をもつ顧客・株主もいるでしょうから、企業イメージの低下も懸念されます。
まんだらけがとろうとした手法は、このような多くのリスクをはらんだものでした。
企業として、万引きによる損失は企業存立にも影響を及ぼしかねない死活問題ではありますが、それに対抗する方法によっては損害が拡大しかねないのです。
お困りの際は、まず顧問弁護士や警察等の関係機関に相談し、適切な対応をする必要がありますので、ご相談をおすすめします。
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