9488625d38adf6296f78c988ac64ad88_s政府は、1月26日に開催された子ども・子育て会議において、事業所内保育所に対する新たな補助制度の概要を示しました。

これまでの制度では保育所が認可をうけるための要件が厳しく、全国で4000箇所以上ある事業所内保育所のうち、認可を受けた事業所内保育所はわずか200箇所にも届きませんでした。

しかし、認可を受けていない施設は、国からの補助金がなく保育料が高額になり、子どもを預けることを希望する両親にとって大きな障害となっていました。
今回の新制度が始まると、市区町村の認可を受けていない事業所内保育所でも国からの運営費の補助を受けることが可能になります。これまでに比べより緩やかに助成金を受けることが可能になる結果、保育料が低額におさえられ、利用者が保育所を利用しやすくなることが期待されています。

事業所内保育所を創設するメリット

事業所内保育所とは、企業内または事業所の近辺に用意された、育児中の従業員向けの託児施設のことをいいます。小さな子どもを抱えた家庭は、その子どもを預かってくれる施設がなければ、安心して仕事をすることができません。そこで、従業員が子どもを預けて安心して働ける環境を作るのが事業所内保育所を創設する目的です。

この事業所内保育所のメリットには、次のようなことがあげられます。

①従業員の満足度を高める

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事業所内保育所のある会社で働く社員には、いずれ子どもが生まれても、事業所内保育所を利用しながら働くことができるという安心感が生まれます。社員を長期的に雇用したいと考えた場合、子育てと仕事を両立できる環境づくりが使用者には求められますが、事業所内保育所がそこで大きな役割を果たすことが期待できます。

特に女性社員は、子どもを出産し、育児休暇を取得した後、退職を選択する人も少なくありません。厚生労働省の「雇用均等基本調査」(平成24年度)によると、育児休暇後、復職せずやめていく人の割合は、1割との結果も出ています。出産を機に仕事をやめる人を含めると、子育てとの両立に限界を感じ、職場を離れる人はさらに多くなります。

しかし、事業所内保育所があると、仕事をしながら育児をすることの不安を解消させることができます。そして出産や育児を機に仕事を離れる社員の流出を防止し、円滑な復職を促すことを可能にします。

 

②企業のイメージが向上する

優秀な人材を確保し、企業が発展する上で、企業イメージはとても重要です。

そこで、事業所内保育所を設置し、女性が活躍できる職場作りを積極的に実施していることを社外に発信することで、福利厚生を充実させている会社としてのアピールが可能になり、優秀な人材を集めることができます。また地域との密着性も生まれ、顧客からの信頼を得ることにもつながります。

よく知られているところでは、ローソンはコンビニエンスストア業界では初めて事業所内保育施設を開園し、子育てしながら働く社員を応援する姿勢を打ち出しています。

 

 

事業所内保育所のデメリット

もちろん、事業所内保育所もいい点だけではありません。
通勤ラッシュの時間に子どもを満員電車に乗せなければならなくなったり、設備が一般の保育園などに比べて不十分だったり、社員自体が体調を崩し出勤でいないとなると利用が困難だったりなど、利用者側にとって様々な問題点もあります。

 

従業員が活躍できる会社とは?

男女平等社会と呼ばれる今日、女性の雇用促進は会社が発展していくうえでますます重要になります。事業所内保育所は、その1つの手段となるに過ぎません。
使用者には、今、子どもを抱えた社員が安心して働けるための環境づくりが求められます。

 

 

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