削除を認めない旨の札幌地裁の判断について
皆様は「食べログ」をご存知でしょうか。
「食べログ」は、飲食店の利用者が感想を投稿するグルメサイトとして、多くの人に利用されています。
この「食べログ」に、事実と違う内容が投稿されたとしてある飲食店経営会社が店舗情報の削除を求めた件で、今月、札幌地裁が削除を認めない旨の判決を出しました。
この飲食店は、「食べログ」で「料理が出るまで長時間待たされた」などの投稿が寄せられたことから、食べログを運営するカカクコムに削除を要請しましたが、カカクコムが応じなかったため、訴訟を起こしたものでした。
今回、食べログの投稿削除が認められなかった理由として、裁判所は、①削除を求めた飲食店が「法人」であり、広く一般人を対象に飲食店を営業しているため、「個人」と同様に自己の情報をコントロールする権利が無いこと②飲食店側の削除請求を認めると飲食店側が掲載される媒体を選択し、望まない場合は掲載を拒絶する自由が与えられることになり、他人の表現行為などが恣意的に制限されることになり容認できないことなどを指摘しました。今回問題となったのは「食べログ」というグルメサイトでした。
もっとも今日の情報化社会において、インターネット上に口コミが投稿されるのは、飲食店に限りません。どの業界においても起こりうる問題です。
それでは、どのような場合に、店舗側はプロバイダーに対して問題視している投稿の削除を求めることができるのでしょうか。
店舗側がプロバイダーに削除請求できるのは「権利侵害情報」のみ
プロバイダー責任制限法によると、被害にあったと主張するものは、権利侵害情報に当たる場合は削除を求めることができることになります。
したがって、権利侵害情報に当たらない場合、口コミを投稿された店舗側はそもそもプロバイダーに削除を求めることができません。
このように、インターネット上の書き込みは、店舗側にとっては店舗の信頼を揺るがしかねない重要な問題ですが、投稿の削除は決して容易ではありません。
名誉毀損などの厳格な条件を充たす場合にのみ書き込みの削除を裁判所が認める可能性がありますが、その要件は削除を求める側が立証しなければならない等、ハードルは非常に高いものです。
今回の裁判所の判断は、まだ地裁レベルのものですので、今後もこの判断が維持されるとは限りません。
この事件が控訴された場合には、控訴審の判断についても注目されます。
このように削除請求の判断には専門的な知識が必要です。
削除請求でお困りの方は、ぜひ一度、弊所にご相談ください。
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