昨年末に、景品表示法の改正が行われました。

ホテルのレストランメニューの産地偽装などが相次いだことを受けて、不当表示に対する規制の見直しが進められており、今回の改正はその一つに位置づけられます。

 

課徴金制度の導入

不当表示についての法的責任として、これまでは以下の4つが主にありました(詳しくはこちらをご覧下さい。)。

・措置命令
・警告
・損害賠償責任
・差止請求

このうち、措置命令や警告は、不当表示を所管する消費者庁による行政の処分ないし指導です。こうした措置は世間に公表されれば、当該企業にマイナスイメージを与えるものではあります。しかし、現行の法制度では、措置命令に従わない段階で初めて企業に罰則が適用されるという形になっているため、不当表示の未然防止という観点からは不十分ではないかという意見があがっていました。

 

また、消費者に対する損害賠償責任についても、商品の内容にもよりますが、一人一人に対する責任がそれほど大きくなることは少ないため、裁判にまで発展することは極めてまれな状態です。

このように、不当表示における現行の法制度では、報道による企業イメージの悪化が企業にとって最も影響があり、法律上の責任が必ずしも十分な機能を果たしていませんでした。

そこで、今回の改正で導入されることになったのが課徴金です。すなわち、不当表示を行った企業に対して、行政が課徴金として一定の金額の支払を命じることができるようになるのです。

課徴金の金額は、原則として問題となった不当表示に関する商品の売上額の3%と定められています。これまで金銭的な責任がそれほど大きくなかったことからすれば,今回の改正により不当表示規制が進むきっかけになるかもしれません。

また、自発的に不当表示の申告をした業者に対しては、課徴金の額を2分の1に減額することや一定の手続にのっとって消費者への返金を行い、被害回復を図った場合には、課徴金を減額、免除する措置も設けられています。こうした制度により不当表示に対する各企業の自発的な抑止が期待されています。

この法改正の施行は公布日から1年6か月以内とされており、早ければ年内にも適用されます。

 

とりわけ、製造業や小売業の皆様は、自社の商品やサービス、料金表示のあり方について、今一度見直していただければと思います。効果的な宣伝方法を考えることはとても重要ですが、せっかく考えた広告が不当表示だといわれないために、事前に検討しておくのがよいでしょう。ご不明な点があれば弁護士にご相談ください。

不当表示については、こちらのページをご覧下さい

 

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